『あさきゆめみし』×『日出処の天子』二人展 札幌旅行

行ってきました。
幸い天候にも恵まれとても良い旅になりました。
トークイベントの感想はnoteに書きました。
お時間ある時にでも読んでみてください。
詳細は『ダ・ヴィンチ』に掲載がある予定だそうなので、私のはあくまでも個人の感想とまとめです。

https://note.com/amanoakimi/n/n449c17a424e0

前日金曜日に札幌に着いて、この日は日中は近くをうろうろ散策したり。
雪は残っていたけど晴れて割合暖かく。夕方仕事を終えて着いた友人たちとスープカレーの人気店で一緒にごはん。
9日に宴会に参加する予定があったし、お酒はさほど飲まず。
カレー美味しかったです。


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トークイベントに届いていた萩尾先生からのお花など↓

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旧四季劇場だった建物の名残り写真↓
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それでもやっぱり恋をする~『どうしても触れたくない』ヨネダコウ

現在紙本・電書版ともに発行あり。ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26) コミック 2008年9月1日
*感想、ネタバレありますのでご注意ください*

初版がもう16年も前なのだった。この年に生まれた子供さん方が高校生。時の経つのは速い。
最初に読んだ時、ナイーブな主人公・嶋くんがもう堪らなく可愛くて、どうにかしてあげたい気持ちになった。ということで、作中の上司・外川もノンケなのにこの可愛さに参ってすぐ恋人関係に。
紹介文を書こうと思って久々に読んだら私の記憶よりもかなり早くさくっと寝ていた。外川が非常に柔らか頭なのだった。

さくっと関係が進んだのだが、実は外川の過去は重かった。
父親が交通事故で死んだあと、ノイローゼになった母親が後追い心中を図った。弟が死に、生き残った母親は服役後、結局自殺した。
残された外川は祖父母に育てられた。
目の前で燃えて崩れていく夜中の自宅の記憶の中に静かに雪が降る。
仕事も出来、頼れる上司としてムードメーカーでもある明るい性格と思えた外川の過去を何気ない調子で語り聞かされた嶋くん。
その上で自分には家族に憧れがあると言われたら、この関係を続けていてはいけないと思ってしまう。それはもう自然な流れ。

どんどんと嶋くんへの愛しさが募る外川に対して嶋くんは距離を置きたいと思いつつ、出来ない。そこに外川の京都への転勤の話が来る。
その機に覚悟を決めて別れを切り出す嶋くん。自分がいつか重荷になることが怖いという彼の覚悟を翻すことが出来ない。自らの重い過去が相手を苦しめる。そのことを突き付けられるとどうしようもないのだった。
この別れのシーンの切なさには涙しかない。

二人の関係をつなぎ直したのは外川の仕事の後継をした小野田だった。
自分の気持ちに正直になる嶋くんの涙と頑張りの場面には読者として嬉し涙しかなかった。よかった、間に合った、本当によかった、という気持ち。

気が付くと映画化もされていた。
映画はどうだったのかな、ちょっと観てないけども(すみません。)
スピンオフとして小野田の恋愛譚『それでもやさしい恋をする』もあり、こちらもとても良い。

<24のセンチメント>17

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心の声が聴きたい~『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』豊田悠

いまさら紹介するまでもなく大ヒット作品、通称チェリまほ。
私が読んだのはSNSで無償で読めるとかでバンバン広告が流れてきた時期があったり、kindleアンリミテッドで読めた時期があったせいだった気がする。紹介されていたエレベータでのカットが面白くてつい読み始めたら、面白いのなんの。
申し訳ないことを自白すると、絵はあまり好みではなかった(すみません)でも、陰キャだと自認する主人公・安達の心理描写の細やかさと、イケメンで仕事も出来る黒沢が安達に対して臆病でドキドキ、ピュアなのに、妄想の面白さに受けまくった。仕事描写の細やかさも悩みの具体的な感じも好みだった。

さて、タイトルのように30歳まで童貞だった安達は30の誕生日の朝、急に周囲の人間の心の声が聴こえてくるようになってしまった。魔法使いになったのである。ただ、身体に触れている間だけという限定ではある。
わが身に起きた不思議現象、あまりのことに戸惑いつつも、満員電車を避け早めに出る、支払いを電子にするなど工夫し割とあっさりそのことに慣れていく。
が、ちょっと人が混雑した職場のビルのエレベータで密着した黒沢の心の声を聴き、彼のまさかの自分への恋心を知ってしまう。
そこからの展開がまた一段と面白い。
先輩社員に頼られて断り切れず仕事を代わり遅くまで残業する安達に差し入れのコーヒーを渡したり仕事を手伝う黒沢。
最終電車を逃した安達を部屋に誘うのだが、彼の部屋にはなぜか安達にぴったりサイズでよく似合うパジャマが買ってあったり。
黒沢の妄想の中を垣間見てしまって怖気づくのだが、美味しい朝ごはんを食べさせて貰ったり。
女子社員にモテモテで仕事も出来る黒沢の、安達に対してのみっともないほどにジタバタする恋のアプローチに笑いながらも凄く応援したくなる。

このところ酷い悲劇があって、マンガ原作のドラマ化に逆風が吹きすさぶっているが、少なくともちぇりまほに関して言えば、ドラマ化がまた良かった。
主役二人がぴったりで、真摯に役を体現してくれた。ほかの配役も素晴らしかったし、脚本も良かった。私はアマプラでドラマを続けて見て、あまりの出来の良さについ繰り返し見てしまった。そのくらい世界観の再現がよかった。昨今「おっさんずラブ」や「きのう何食べた?」など同性愛についてのドラマがとても当たっているのもあるが、ごく自然に受け入れられるドラマになっている。
原作者さんのコメントも読んだが、ドラマにとても喜んでおられるようだった。だから、全部を十把一絡げにして否定するものでもない。
結局は個々の問題である。

悲劇が起きたくだんのドラマについては、私はドラマも見てないし原作も知らない。だから何か言うべきことをまったくもたない。
亡くなった作家さんのご冥福をひたすらに祈り、これ以上誰か個人が責められることがありませんように、と願う。
そして、上手くいったメディアミックスもいっぱいあるよね、と思うので、成功例を参考に何か悪かったことがある組織やシステムが自省し、二度と同じような悲劇が起きませんように。

<24のセンチメント>16

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異種恋愛譚~『うしみつどきどき古書店譚』tacocasi著

*下記 noteに挙げた分をこちらにも挙げておきます~。
昔に某サイトで企画で挙げていた<24のセンチメント>の続き。せめて、せめて今度こそ24個挙げ切る野望。
すごく大好きな作家さんなのですが、詳細は不明なんですけど出版社を移られたようです。
今回新装版で電書も出直して良かったな!と思っています。

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祝!!新装版 電書発行!!
新装版 うしみつどきどき古書店譚 (光文社 BL COMICS / Vinyl)2024年2月23日感想、ネタバレありますのでご承知おきください。)

だいぶ前にサイトで企画して挙げていたBLブックガイドを挙げ直していたんだけど、手持ちの分が終わった。24個挙げるのを目標にしていたのになんと14個。我ながらなんという根性ナシであることよ。
で、同じ企画で再開するなら一番目はtacocasiさんのこの作品にしよう!と自分の中で決めていた。

 私がこの方の作品を最初に読んだのはそもそも電書版だった。Twitterで流れてきた表紙絵が可愛いのでふらっと前知識もナシに購入して読んだら好きすぎて、紙本も買った。他の作品も電書で買った。なんだか現在は別の出版社から電書版の新装版が出ているので契約を変更されたのだろう。詳細は私には不明だけども。今チェックするとこの作品は紙本のみとなっている。事情が色々あるんだろうな~と慮りつつ、全力で応援したい。
補記*と言ってる間に新装版が電書にて発行された!!良かった~~応援しますとも!!(2024年2月21日)

ともかく、絵が好みなのだ。シンプルな線でどこか緩い色香があってそこがいい。
物語はそんなに裕福ではない大学院生・小宮君が下宿先に戻るところから始まる。彼の下宿先は古い民家の二四書房の2階の部屋。
店主・西陽蔵は一見強面だったが、小宮君の好みにはドンピシャだった。
時代も変わったな~とここで思うのが、小宮君はまったく自分の性癖に悩んでいない。自分の好みの店主と帰り道で買ってきた豆もちを一緒に食べて、甘い物好きでぱくぱく食べる陽蔵さんの顔を眺めて嬉しい。
下宿代は月1万。古民家といってもこの破格の条件が、要請があったら店番手伝ってくれ、だった。
大学院生の小宮君は要請に従って店番を引き受けるが、PCで原稿を書いたり調べ物をしたりしながら出来るので、全然Win-Winなのだった。

ある日いつもにまして不思議な二人連れのお客様が陽蔵さんの副業関係で訪問する。どこかクラシカルな服装(大正時代の洋装みたいな)の美人女性と制服の女の子。通した後で大きな地震が起き、直後悲鳴が聞こえて駆けつけると、なんと陽蔵さんが何か液体を被ってしまってしゅるしゅる~~っと縮んでしまう。若返りの薬を浴びて少年の姿になってしまったのだった。
ショタの人にも堪らん展開で、少年の陽蔵さんも可愛い。

陽蔵さんの副業というのがここで明かされるが、神様相手に質屋をやっているのだった。神様の作るものを仕入れて販売したり、逆に人間界の依頼を神様に持って行ったりする。この時点では小宮君は知らないが、実は陽蔵さんも中身は西家の屋敷神なのだった。

ファンタジックな展開なのだけど、すごく地に足がついた生活ぶり。
信仰が薄れつつある現代において神様たちが自分でお金稼いで神社の修繕費捻出したりする。信仰が薄れると実体化の力が弱まったりするという話もある。縁切りの神様が縁結びも兼ねているとか、元々は妖怪だったが縁切りが人間の益になったので奉られて神化したとか。なるほどあるある、と頷く。
元々の西家の子孫である本当の店主・西が友人の裏切りによって生きる気力を失い自死を図ってしまったのが、祖霊が神化した陽蔵さんが中に入ることになった原因だった。

何代も子孫を見守り家を見守ってきた屋敷神ニシ様。それに恋した小宮君は、諸々の事柄が判明してもこの恋は変わらないという。
神様と人間の恋。
それもすごく素直。何も迷いがない。
小宮君のものすごく自然体なキャラと、不器用でどこか抜けてる屋敷神ニシ様のキャラに読んでいて癒される。エピに出てくる各神々も、偉いのに人型取る時に変なTシャツ着てラフスタイルだったりする感覚が新しい。

なんだかんだあって、落ち着くところに落ち着いた二人がいちゃいちゃしながら古民家二四書房で暮らしてる様がとても良い。なごむ。疲れているときには特に染みる。
何回も繰り返し読んでしまう一冊なのだ。

(補足*昔、サイトで公開していたBL作品紹介文の既出原稿再掲が終わったのでここから新しい紹介になります。<24のセンチメント>15
初版はNUUDE COMICS 東京漫画社発行 2021年8月15日)

新装版 弦巻先生の作家生活 (光文社 BL COMICS / Vinyl) Kindle版 2024年1月26日発行
新装版 お守りくん (光文社 BL COMICS / Vinyl)Kindle版 2024年1月26日発行

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(フェルディナンド&ローゼマイン二次創作) 天岩戸譚

(『本好きの下剋上』二次創作です。なんだか二作目;)

星結びも無事に終わり、夫婦で共寝することにもすっかり慣れてきたある夜。半身を起こした状態だが広い寝台で私はすっかり寛いでいた。しかし、用意させた香りのよい酒精を嗜みながらローゼマインが唇の端をちょっと上げて急に話を始めた。
唐突だ。
いつもながら唐突だ。
さきほどまで貴族らしい笑顔でいたのに側近が下がるや否や、私にはやや不機嫌さを早速滲ませていた。きっとなにかよからぬことを考えているに違いない。

「わたくしの元いた世界に伝わる神々のお話に”天岩戸伝説”というのがあるのです。」
土の日の前の夜。せっかくの二人きりの貴重な時間にいったい何を言い出したのか?(アマノイワト?)聞き慣れぬ言葉にともかく先を促す。
「天照大神というお日様を司る女神様。こちらで言えば光の女神様にあたるお方が、弟君のあまりの悪さぶりに洞窟にお籠りになり岩戸を閉ざし出て来なくなりました。」
話の方向がまったく見えぬので黙ったまま聞く。ここは聞くしかないだろう。
「おそらく太陽が月の影に隠れる日蝕という現象を古来の人たちが恐れてそのような伝説を語り継いだのだろうとも思うのですが、それはともかく。
太陽神が隠れると世界は真っ暗になり、植物も育たず病人も出たり大変な騒ぎになりました。どうにか女神に岩戸から出てくださいとお願いするのですが、出てきて下さらないのです。」
この辺りで何か話の方向が見えてきた。ローゼマインは怒っている。
それには確かに気づいてはいた。話の中で”女神”だと言っているが、どうやら岩戸に籠っている神の話は私のことを喩えているらしい。
ため息が零れた。今夜は甘やかな夜になるのではなかったのか。

そう、つい先頃入手した貴重な水棲魔物。これは存在が稀少でようやく生きた状態で手に入ったのだ。これを増やしていくにはどうすればいいのか。隠し部屋に籠って研究に没頭してしまった。研究所で育てていくにしても、その育成方法から見極めねばならない。
ちょうど執務が少し落ち着いていた頃合いでもあったし、そもそもその魔物から得られる素材を私の全ての女神がかねてより欲しがっていた。どうにか人の手で増やせないかというのが研究の目的ではあった。が、それは研究所に持ち込む目途が立ってから報告したかった。目途が立たない内に報告して上手くいかない場合、残念に思われるのも口惜しい。
…私はローゼマインががっかりするのを見たくない。
なので研究の目的を秘匿して、どうにかローゼマインの入室も拒否し、強引に籠っていたのだ。
それを怒っている。
久々に一緒に取った夕食の席では側近達の手前見せないようにしていたらしいが。時々そこはかとなく怒りが滲み出ていたのを知っている。

ローゼマインは私がきちんとした食事を抜いたり徹夜したりするのを本当に嫌がる。だが、たかが二日くらい軽食や回復薬で済ませてもいいではないか…。心中ぼやく。一夜の徹夜くらいどうということもない。
執務もユストクス、ハルトムートらで問題なかったはずだ、指示は十分にしてあった。そんな風に反省のない私の思考を読んだのか、ローゼマインはちらりと咎めるような上目遣いを見せた後、尚も説明を続けた。
「ほかの神々があらゆる手を尽くしても出てきて下さらないのですよ、本当に困った”女神”様だこと。」
こてりと頬に手を当てる。エックハルトが何度も声を掛けても出てこないことをあてこすっている。私はちょっと目をそらしてグラスを口に運ぶ。
喉を流れる好みである筈の酒がやや苦く感じる。こくりと飲み込む。
「…それで君は何を言いたいのだ?」
食事を抜いたことを反省しろということか。今夜の夕食は共に取ったではないか。明日からもきちんと君と取るつもりだったと言うべきか悩む。この研究も君の為なのだから少しくらい見逃せばよいものをという気持ちがあるせいかもしれない。
…ゆうべ共寝をすっぽかしたことも?
いやそういうローゼマインだとて、エルヴィーラの新刊が手に入ると夢中になって寝台で読み続けることも多いではないか。日頃の不満がやや首を擡げる。そういう時どれだけ苦労して本を取り上げてきたか。

「困った神々の中から天鈿女命(あめのうずめのみこと)という方が妙案を思いつくのです。」
「妙案…?」
何か嫌な予感がする。絶対にろくでもないことに違いない。
「ええ、天鈿女命様はとてもふくよかで踊りも上手な方でした。天照様がお籠りになった岩戸の前で踊り始めるのです。新しい太陽神が現れた、お祝いだとかなんとか、他の神々が歌い、手を叩き、にぎやかに騒ぎ囃します。その騒ぎに天照様はつい引き戸を少し開けて覗こうとするのです。すかさず一人が引き戸を開け切り、一人が鏡を差し出し女神を映し、そして岩戸からとうとう天照大神を引っ張り出すことに成功するという言い伝えです。」
「ほぉ…」
感心して見せたものの、話の決着まで聞いてもあまり意味がよく分からない。策略で籠っていた女神を引っ張り出した、それで?という感じだ。
ローゼマインは私の反応の少なさに頷きながら、さらにいたずらっぽい表情で笑ってみせた。何か笑顔に黒い影が見える。
「面白いのはこの時天鈿女命様が踊ったのは日本最古のストリップ、わたくしのいた世界で言い伝えられる一番古いストリップだと言われてるのです。」
「すとりっぷ…?」
またしても聞き慣れない言葉が出てきた。異世界にしかない言葉なのであろう。そしてさきほど感じた黒い影が立ち上がり、ますます不穏な空気が漂い始める。

メスティオノーラの化身と言われるローゼマインは星結び後美しさに磨きをかけている。最初の内こそ羞恥に震えるシュミル然としていたのが、今ではすっかり…。幾夜も過ごした甘美な光景がつい脳内に過ってしまう。
(本当は人目に触れさせることなく、それこそ”アマノイワト”とやらでも二人だけで籠っていたい…。その思いをぐっと堪えているのだ。)
その間に、既に解かれた艶やかな黒髪を払いながらゆっくり寝台から降り、どこに用意していたのか数枚の薄布を寝衣の上に羽織った。
「ストリップというのは、こういう感じに踊るのです」
妖艶に笑ってみせたかと思うとなにやら口遊む。そして私の目を輝く金色の瞳で見つめたまま、細く白い指先を優美に舞わせ、ひらひらと一枚ずつ薄布を落としていく。
ローゼマインの優秀な側近が選んだ寝衣そのものが実に艶めかしいものであったのに、纏っていた薄布を一枚ずつ落とす仕草から目が離せない。自身の評価はともかく、私の女神は奉納舞も名手である。妖しい光が身を包むようだ。羽織っていた薄布がすべて足元に落ち、最後になった一枚を落とそうと胸元のリボンに手をやった。
白い輝くような裸身が露わになると考えた途端に、私の口から謝罪が無意識に口をついた。謝るしかないではないか!

…つまり愛する私の女神は、今度食事を抜いて睡眠を抜いて籠ったら岩戸=隠し部屋の前で皆の前でこの踊りを舞ってみせるぞ、と脅しているのだ。
このような破廉恥な踊りを、だ。悪辣にすぎる!!
ローゼマインがいた異世界が恐ろしく破廉恥なのは知ってはいたが、まさかこれほどとは!!私がほかの者がいる前でその薄布一枚でも落とすことを赦すとでも思っているのか!?

私の謝罪と反省に気を良くしたのか、満足気ににこりとしたローゼマインが寝台に戻って私の隣に身を横たえる。
艶やかな髪や柔らかな身体から漂うほのかな香りを鼻腔で味わう。
…ようやく。
ようやく、私は愛しい妻に思い描いていた甘やかな夜を自らの指で解くことを赦されたのだった。

(補足)
最初の頃は翻弄されるばかりだったローゼマインが若干慣れてきた&研究に浮かれ、久々に食事と睡眠を抜いたアウブ配におしおきを考えた夜のお話です。天岩戸って女神が籠る話なんだよね~やっぱりフェルディナンドの方が女神然としてるなと思ったことが一つ。
あと、この時入手した水棲魔物は真珠貝の母貝(ユルゲンにおけるアコヤ貝系)。アレキで真珠が養殖できたらいいね、とTwitter(現X)で呟いたネタです。養殖までは大変そう。
ちなみにこの夜の後は、フェルディナンドが籠りそうになると「すと…」とアウブが口にするだけでバッと部屋から出てくるようになります。

ストリップ風に踊る時のイメージは「サロメ」です。ヨカナーンの首を欲しがってサロメが踊ったのも一枚ずつ布を落とす色っぽい系なので、なりきりで踊っています。この時口遊んだ曲をフェルディナンドが後に所望します。(案外懲りない。)

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マティアスの夢 ~蝶に寄せて~

(いきなりですが『本好きの下剋上』二次創作です)
(先日noteの方に挙げましたが、どうせだからこっちにも挙げておきます。)

一匹の蝶が海峡を渡る詩が妙に胸に残っている。
詩集など購入したこともない。教科書に載っていた一行の詩。大海原を頼りなく羽ばたく蝶には島影も休める船影も見えない。夜闇も飛ぶのか?孤独に。詩など口にしたら後輩のラウレンツは目を丸くするだろうからずっと心に秘めている。ただ時々蝶の孤独が胸をよぎるだけだ。

彼はよく夢に見る。
「父上!」いや、その名を呼び直す。「グラオザム!」
(時代劇かよ)と自分に突っ込む。どうやら自分は西洋の騎士のようだ。敵対することになった実父の名前をわざわざ言い直しているあたり我ながら律儀な性分だと苦笑する。相手は騎士ではない。が、優秀な科学者の頭脳で自らの肉体を改造し、特撮ドラマに出てくる奇怪なサイボーグのよう。実父は美しい貴族女性に心酔し、夫婦ともに命を捧げて妄執に取り憑かれていた。彼女を我が領主にするという妄念だ。醜く石化した身体半分と付けた義手から青い炎が燃え盛り、息子である自分に襲いかかってくる。強い。恐ろしく強い。冷たい汗が背中を伝う。

(守りきれぬ!)
焦るマティアスに様々な色に輝く光が降り注ぐ。彼の後ろには某アニメの某バスのレッサーパンダ版に乗った一人の少女が居る。変な車に似合わない絶世の美少女は、艶やかな濃紺の長い髪に金蜜の輝く瞳で必死に不思議な言葉を唱え彼の為に祈っている。その度に彼の力が増し形勢が逆転していく。それが誇らしくて堪らない。

父親が主と戴く女性は他人の為に祈ることなどなく、自分の手を汚すことなく他者を使い、今は妄念のままに己が郷里を焦土にする。混沌の女神に憑りつかれ、とうとう他領の貴族達を駒とし、侵攻を開始した。比して自分が守るのは自らの危険も顧みず、常に弱者をも救う慈愛の女神。虚弱で非力でありながら、彼女は必至で祈りを捧げる。領地の為に領民の為にと願う。そして今は自分の為に。
見返りを求めているわけではない、ただそのことが誇らしかった。
選んだ道は決して間違っていない。それでも認められたかった、この父に。せめて止めを刺せれば!と闘う。
が、逆に邪魔な羽虫を潰すように父が迫り、その瞬間守りによって弾かれ彼は飛ばされた。父の本気の殺意に戦いの場から遠く弾かれた。

そこでいつも目が覚める。実父の本気の殺意に弾かれた自分。自分にもあの妄執の血が流れているのかという恐怖ごと、この手で止めを刺して終わらせたかった。でも、出来なかった。
ふと、冷たい汗が流れた背中が温かくなってきたことに気づく。目を開けるといつの間にかラウレンツが自分を背中から抱き込んでいる。いつも明るい後輩がベタベタ纏わりついてくるのを拒んでいるのに。連日の泊りがけ、実験開けの宅飲みで酔った隙に抱き込まれている。(おい、離れろ)と言いかけてやめた。今は暖かい背中の熱が有り難かった。
自分は1人じゃない。
孤独な蝶ではない。
ただ、もしかしたら今の自分は夢に見る騎士の彼が束の間見る幸せな夢かもしれない。遠く弾かれ飛ばされた彼をしっかり受け止めたのは騎士姿のラウレンツだった。


(補足)
最初の詩は「てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った」安西冬衛の詩(教科書に載ってた)で、解釈はマティアス視点です。
ラストは「胡蝶の夢」荘子ですが、夢展開でよくあるやつ。
すみません。漢詩習う時最初に教科書で出てきた時、SF!って思ったものですよね。

二次創作に手を出したのはこれが初めてかも!
恐るべし!『本好きの下剋上』沼!

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二次創作

今まで、二次創作には手を出したことがなかったのです。
一次はあります。一番古くて中学生の時、週一の必修クラブ活動を文芸部にした時があって、そこで短いものを書いたのが最初です。
一作目は自分が死んだことに気づかないで車の中にいる少年のモノローグで
二作目は別れた父親に容姿がそっくりで、母親に憎まれて育った娘が気が狂ってしまうという話で、二作ともまあ辛気臭い。
(3年の時は音楽部仲間と演劇部にしました。課外活動は3年間吹奏楽部)
高校でも2年と3年は必修クラブを文芸部にしたんで、なんだかSF研究会みたいにしちゃったな。
なので、SFっぽいのを書いた気が。どっちかというと詩作メインでしたが、なぜかBL(当時はジュネと呼んでました)を書き始め。
私の一次創作はほぼBLでした、ははは;(課外活動は3年間音楽部、吹奏楽がなくて合唱部でした。ハレルヤとか宗教音楽が顧問の好みでけっこう歌っていました。ソプラノです。大学は4年間オケ)

結局創作は才能ないなと見切りましたが、割と律儀に完結までは書いていました。
社会人になってからはどっちかというと、コミックについての作品解説とか作家解説とかの文章を書いてきたので、Xで「創作されるのでは?」と聞かれた際、「創作はやってないです」と答えました。
(書いてたのがあまりに昔なので嘘ではない。あらすじ書いたり作品作家解説は少しばかりですが商業本のお手伝いもやったり。)

まあ、なんだかんだ言ってますが、二次創作は今まであんまり興味なかったです。読むのも。
それが、『本好きの下剋上』の沼に落ちたら、読むわ読むわ。
なんせ公式が書かない部分というのがはっきりしてるので。
お陰様で今までになく薄い本もけっこう買っちゃいました。
が、読みはしてもそれでも自分は書くつもりはなかったのだけど、先日絵を描かれる方にリクエストしたらすごく素敵なイラスト描いて頂いちゃって。それ見たら、ぱーっと垂れ流した文章が…ああ、これはいわゆる二次創作ではなかろうかと気が付いたので、まとめてみました。
人生初です(しつこい)。せっかく書いたから纏めておこうと思って;

文庫メーカーというアプリを使いましたが、Xに連携して挙げるのはちょっと止めました。縦書きの方がいいんですけどねー。
noteの方に手直ししてまとめたのがこちら→https://note.com/amanoakimi/n/n92fd91303398

イラストは私が雑に描いたマティアス;誰って感じですが;頂いたイラストはマティアス&ラウレンツの可愛い現パロでしたv

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『本好きの下剋上33巻』完結巻 ネタバレ感想2

『本好きの下剋上33巻』完結巻発行
下記、ネタバレ感想 追記になります(ふぁんぶっく8,完結巻、ドラマCD10、特典SSすべて含みます)
未読の方は読まないようにお気をつけください。↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

推測していた部分がまだあったのを思い出しました。
ローゼマインの魔力感知発現の謎

ジェルヴァージオがメスティオノーラの書を(欠損ありながらも)得て戻ってきた際に、ローゼマインが魔力を感知してざわざわしました。
魔力感知の発現だなと思いました。でも魔力量的にはジェルヴァージオがフェルディナンドもローゼマインも感知しているので、この3人はお互いに感知内のハズ。なのにジェルヴァージオで感知してそれまで近くにいるフェルディナンドを感知しないのはなぜ?
これはメスティオノーラの魔力にローゼマインが染められた後に、虹色レッサー君(巨大)の中でフェルディナンドの魔力を感知しているので、二人の魔力が近すぎて感知していなかったということではないか?と推測しておりました。
親子は魔力の色が似ているというのがあるので、近親相姦避け的に魔力の色が似ていると感知しないのでは?とこれもまたよくやりとりするM様とやりとりして頷き合っていました。(現世でも特に思春期の娘が父親を臭いと感じるようになるのも近親相姦避けと言われています。)
近親相姦避け的というのは明言はされていませんが、魔力の色が同質すぎると感知しないというのは正解だったようです。

さらにふぁんぶっく8で出てきたのが、「身食いは他の魔力に染まりやすい」ということの大きな意味について。
現世で貴族や王族といったところが血縁が近いところで婚姻を繰り返すことで遺伝子異常を起こすように、ユルゲンでもどうしても血縁に近い結婚を繰り返してきたため、魔力が硬直化し属性を得にくくなっているなどの現象があるとのこと。
(身食いはそれを緩和できる存在なのではないか。薄い全属性)
身食いは平民だけでなく貴族にもあり、ただ、貴族の家で生まれると下働きなどに落とされるためその存在が知られにくいらしい。
ローゼマインは身食いであるだけでなく、繰り返し死にかけた為魔力の塊があり(エーヴィリーベの印の子)、その為フェルディナンドの魔力に魔力器官から染められていたが為にエアヴェルミーンには同一人物とさえ認識されるほど色が近かったのです。
ただ、ツェントレースの前にメスティオノーラの魔力に染められたことを感じたフェルディナンドが「慕わしかった魔力が女神に染められていて忌々しい」というモノローグがあったので、(あれ?フェルディナンドはその前にロゼマの魔力を感知してたの?魔力感知というのは相見互いのハズなのに?)と混乱していたのですが、これについては魔力を流そうとして弾かれた為だったことが今回の加筆で分かりました。
なかなかややこしいw
枯渇させて染め変えたけども、器官については女神の魔力を超えることがない為一部染めきれてない為、二人は前のようにまったく同質になるということがなくなり、魔力感知内にあるとなりました。
魔力感知=子が成せる、ということらしいので良かったです。元に戻ったらここはどうなるんだろう?とも思っていたのですっきりです。

フェルディナンドは先代エーレンアウブの実子である

アダルジーザの離宮というのは、王族が秘密裏に運営するランツェナーヴェに王や魔石を送るための高級娼館です。
そこで生まれ、魔石にされる運命から逃れたフェルディナンド。出自からいくと父親は不特定のイメージがありました。
イメージがあるだけで実際の父親は一人です。魔力の属性のバランスをよくするようにされていたといったイメージの誘導もありましたが、一方で「メダル登録で亡き母親とのつながりが分かる」(フィリーネの洗礼式についてのふぁんぶQA)や、
「アダ離宮の子供はランツェナーヴェに送る時の管理のためにツェントが魔力のつながりを確認してメダルを登録し管理している」(ふぁんぶQA)
「時の女神のお導きといった言葉だけで子供が引き取られることはない」(はみでたQA)
「先代ツェントはエーレンにフェルディナンドの引き取りを命じた」(ドラマCDアフレコレポ)
などのヒントをつなぎ合わせて考えた時に、メダル登録というのはDNA鑑定並で魔力の登録から親子鑑定が出来ていたのではないか、エーレンアウブは実子であるという確認をされた上で引き取られているのではないか?という推測をTwitterで垂れ流していました。
私が拘っていたのは、情が深いジルヴェスターに似ている先代が実子と分かっているのに「時の女神のお導き」と言ってることについての謎でした。
確かに王の命令だかなんらかの褒賞だかで離宮で花を抱いたとして、お前の子だから引き取れも命令だったとして、そんなに情がないはずがない。でもよく考えたら、ヴェローニカは第二夫人も許さず、他の領地以上に引き取りには騒ぐでしょう。
離宮のことは夫人には知られてないなんて表面的なことで、不義の証である子供の引き取り。
他の貴族はどこか後ろ盾の弱い貴族女性の子をアウブが引き取ったなど考えたかもだけども。
他の領地でも引き取ると問題にしかならないので離宮の実が引き取られたのは後にも先にもフェルディナンドのみ。
ヴェローニカの憎しみはすべてフェルディナンドに向かいました。
でもアウブにしてみれば、異母妹を第二夫人にして母親にしようとしたら恐らくは謀殺されたと分かり、自分が庇うほどにさらに危険が増すとすれば、領地の為だとユルゲンの為だと言うしかなかった。そんな中でも領地対抗戦の年に一度の親子の触れ合いでは「お前は私の誇りだ」と抱き寄せ、ヴェローニカへの名捧げを阻み、臨終前には石を返し、ジルヴェスターを支えてやってくれとフェルディナンドに生きるための支えの言葉を渡しました。今回の完結巻では、アウブもフェルディナンドに居場所を与えるために考えていたのだろうという記載もありました。
実子としての情は彼なりにあったと思うことにしました。ただ、それはフェルディナンドの渇望に届くことはないものだったけども。

私がもしや実子だとはっきりしているのでは?と思うに至ったのは、実母の記載がアダ離宮の話が出るまで読者に対してイメージの誘導があったからです。カルステッド視点で「実母に庇われることがない」という表現(嘘ではないけど、この表現だとなんとなくどこかに生きているイメージ)だったのにいきなり離宮とか出てきて亡くなってる!?と分かった時にあれれ?なんでどこかに生きてるって思ってたんだっけ?と振り返って読んで、うわーイメージ誘導されてる!と気づいたので。
それからはちょっと注意深く読んだのでした。
メダル登録はDNA鑑定並、アウブの実子説を垂れ流していたので、両方がはっきりした時は本当にほっとしましたw

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祝!!『本好きの下剋上33巻』完結巻発行&ネタバレ感想

祝!!『本好きの下剋上33巻』完結巻発行
本当に発行おめでとうございます!!
WEB版の連載開始が2013年、10年後書籍版完結巻発行、なんと素晴らしいことでしょう。
香月美夜先生、挿絵の椎名優先生、おめでとうございます。
TOブックス様、ご尽力されたご担当者様、ありがとうございます。
そして長年応援続けて来られたファンの皆様にも感謝と祝福を贈ります。
私は遅ればせのファンなのですが、皆様のお陰で作品に出会い、現在の沼落ちがあると思っております。
好きなものができるというのは有難いことです。
発行前、本当にドキドキしながら待っていました。WEB版で完結まで読んではいるものの、書き下ろしがものすごい量あるということでしたし。プロローグがなんせフェルディナンド視点。どういう感情が明らかになるのか!!と。

下記、ネタバレ感想になります(ふぁんぶっく8,完結巻、ドラマCD10、特典SSすべて含みます)
未読の方は読まないようにお気をつけください。↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
まずは完結巻を読む前にいろいろ推測していた部分との照合から。
魔力を枯渇させたローゼマインに液状魔力などを与える際、フェルディナンドは口移しだったのでは~~
というファンの期待はぷちっと潰されましたw
私はTwitter(現X)で、主治医フェルディナンドの一大医療行為なのだから、緊急性が高く口移しが一番速いのであれば「必要があればやる!」に決まっているなどと言っていたのです。ところがどっこい。
「器具で飲ませるのには慣れている、躊躇いもない」という追加記述で、「口移しでやる必要がない」となりました。
なんだか先生に「(勝手な妄想は)ダメですよ」と言われたような気持ちで読みました。すみません…。 
一連が一大医療行為であるという読み方は合ってたみたいです。ちなみに「必要ならやる」は別のとこで出てきましたw

記憶を同調していた際祝福が降ってきてローゼマインの記憶が繋がったのは、自分の命が危ない時でさえ祈らず使われていなかった、ローゼマインが贈った全属性の祝福のお陰では?
ふぁんぶQAでフェルディナンドが贈られた祝福はまだ使われておらず、他者の為に祈った際に起動するということでした。
ここについては結局半分くらい正解。
神に祈るのはローゼマインの身体に危険がある状態なので普通に祈るわけではないだろうとも考えていたのです。
が、なんらか貰った祝福が関係してるとはよくやりとりする方達とも頷き合っていました。
アーレンドナドナの時にローゼマインが描いた魔法陣、全属性の祝福の裏返しバージョン「呪い返し」
をいよいよ追い込まれたフェルディナンドが使いました。なんと「呪い返し」!
そういえば、ふぁんぶっくで「祝福と呪いは基本は同じ」という回答があったし、身に行きすぎた祝福はまさに呪いと同じ。
ダンケルフェルガーがディッターの後に使う”海の女神フェアフューレメーアの杖”で返すようなのがあればと考えたことはあったけど、あれだと全部は返せないしな、、、と思っていたんで、なるほど!と納得。
フェルディナンドがローゼマインから贈られた祝福を他者(ローゼマイン)の為に祈ることで使うという部分だけが当たりました。

それにしても「メスティオノーラは嘘を吐いた」で始まる呪い返しは、恐らくは今書かれているハンネローレ編に出てくる時かけに繋がるものなのでしょう。つまりフェルディナンドの命の糸が切れたのは、自分自身のこの行為のせいだったのでは?
呪い返しは自分が貰った祝福の量に等価な分だけ。
なので、呪い返しで使った為に不足した加護が過去に振り返ってプチプチ切れたという考え方なのかも?

これ本当にタイムパラドックスが非常にややこしいけど。
フェルディナンドの命を切る=ユルゲンの崩壊=再度の織り直しについて、ユルゲン崩壊を願っている神はいない、というのがふぁんぶ8の回答にあったので、どの神が悪意を持って切ったということではなく、過去の中のあちこちの加護が切れたと考えると割としっくりくるような?
一方、もしメスティオノーラがフェルディナンドの告発にあるように「嘘を吐いた」という扱いになり神罰を受けたのだとすれば、時かけの出発時はどういう状況だったのか?それとも「嘘は吐いていなかった」という扱いだったのか?
実はXに垂れ流したことがあるのだけど、メスティオノーラこそが救われるべき「歪んだ子供」なのですよね。
メスティオノーラは自らが望むユルゲンがいったん崩壊したとしても、フェルディナンドの命の糸を切りに行ってしまったのでしょうか?
それとも最初に書いたように加護の不足分が過去に振り戻ってあちこち切られる形になってしまった?
それともフェルディナンドに恨みを持つ何者かが神に呪いを願った結果?
誰がフェルディナンドの命の糸を切ったのか?は謎のままです。

アウレーリアの父親を殺したのは多分エックハルト
エックハルトがフェルディナンドになんらか指示されてどこかに行ったのは、QAで「邪魔者を消せ」という指示だったという回答がありました。
多分、ランツェナーヴェ兵に殺された貴族達の始末の最中そのどさくさに紛れて、アレキサンドリアには邪魔な貴族たちを殺しに行ったのだなと思っていました。今回の完結巻で、アウレーリアの父親の館のドアには印があった(襲わないように、D子派であると分かるように)にも関わらず引っ張り出されて殺されていたとありました。エックハルトの仕事の一つですね。必殺仕事人のよう;
でも、アウレーリアは逆にほっとしてましたし、かなり邪魔者としては大物だったっぽいのでしょうがない;

それぞれのお別れ
今回、丁寧に加筆された部分は、エーレンに残る人たちとの別れや、移動する側近達との段取り、引継ぎなどなど非常に細やかでした。
養母となったフロレンツィアとの改まった挨拶もありました。
私はフロレンツィアは養母として、実母としてのエルヴィーラへの遠慮もあるし十分良い関係と思っているのですが、ファンの中には割と冷ややかに受け取られてる方も多いキャラです。
が、このやりとりでやっぱりフロレンツィアにはエルヴィーラに遠慮もあったし、色々悩みつつ親子としての距離を図りつつ、ローゼマインに感謝し大事には思ってくれていたのだなと分かって良かったです。
リヒャルダとのお別れもボニちゃんとのお別れもそれぞれに涙でした。
アレキサンドリアから里帰りもするだろうし、この後会えなくはないけどそんなに簡単ではない。
そうした人たちとのお別れはいかにも巣立ち、旅立ちに相応しいものでした。
デリアが孤児院から出られないのは厳しいなとちょっと考えていて、彼女にも何か恩赦でもあればいいのにとか思っていたのですが、先生はさすがにそこまで甘くなかったです。が、ディルクと離れてやる気や生気を失っていたデリアに再び「孤児院の子供たちの姉として面倒を見て守ってあげてね」という言葉。そして久々のデリアの「もー!」二人のやりとりはとても心が温まるものでした。ディルクやコンラート、メルヒオール達が引き継ぐエーレンの神殿と孤児院はきっと大丈夫。

そして「帰宅」
本編を読み終わった時、あちこちでローゼマインが「懸想じゃない、家族になるのです」と言うように、先生が読者に釘を差しているような気がしました。メスティオノーラに染め変えられた為にローゼマインに魔力感知が発現したのを知った時の「ほぉ」にもうちょっと特別な気持ちがあるかと思っていたら、そこもまだまだ魔力枯渇が遠いことの方が心配でしょうがない状態でした。
全然色っぽいものじゃなかったですw

でも!満を持してCDドラマを聴いたら(脚本の国澤様が書籍より踏み込んだ内容にしているという話が先生の活動報告から出たので)
フェルディナンドがどれだけ必死だったか切迫感がよく分かったし、ローゼマインとどれだけ「家族」になることを渇望していたか、「家族同然」と扱われてどれだけ嬉しかったかが語られ。「宝物を与えられたような気持ち」ってどんだけ可愛いんでしょう。
渇望は分かってたつもりだったけど、思っていた以上にもっと切実でした。前の感想でも書いたけど、どこまでも健気です。
私にとってはクールな魔王というよりは、どこまでも健気な可愛いフェルディナンド。
そしてエーファとギュンター達に迎えられ、家族としての団欒、本当に良かったです。
ドラマCDで要所二か所に使われた「ただいま!」大団円でした。

一方で「口づけくらいしてやれよ」のベンノさん達の揶揄いに思わず漏らしたローゼマインの「貴族のキスは魔力を流されて大変なことになるんですよ!」このセリフにトゥーリが「マインは大変なことになったの?」!!これは!!
前にTwitterで公式が爆弾を落とされた「領主会議中に髪飾りに盗聴器を仕掛けられていることが分かって、フェルディナンドがローゼマインに愛の言葉を囁きながら迫っていって壁ドンチューをした(口を塞いで盗聴器を取った)」という例のネタのアレではないですか。
https://x.com/miyakazuki01/status/1528726797260451840?s=20
本編で書かれなかっただけで既に壁ドンチュー&魔力も流しちゃってたんですね。
「一度のキスもさせずに終わらせた」本編。
私もWEB版で完結まで読んだ時、先生は冬関係を書くことはないなと悟りました。
なのですかさず二次作品読み回りました。けど、結局のところ裏設定も入れれば公式が最強!と言われるのをしみじみと実感しました。
こういうのも。
https://twitter.com/miyakazuki01/status/886201410127147008

一読者の私としては、トゥーリのセリフ「家族同然は夫婦同然」これで良いということでw
二人の情緒はそれぞれまだまだお子様ではあるのだけど、
学習能力の高いフェルディナンドは徐々にちゃんとローゼマインに仕掛けてはいるようです。
そして、ハンネローレ編の「定時報告」の時にはすでにローゼマインにはブルーアンファが舞い踊った後のようです。
それはちょっと分かっていたのですが、間を描写として書かれることはないのですね。
https://x.com/miyakazuki01/status/985898899603841024?s=20

終わりに
本が好きな本須麗乃が転生し、一冊も本がない、何も持たない貧しい平民の娘から領主にまで上り詰め、紙を作り本を作り図書館を作り図書館都市を目指すところまできました。それがこの物語のテーマでした。
その主流の中で、ローゼマインが何もかもを諦めて生きてきたフェルディナンドを救い、そして二人で生きていく…
二人は結ばれて末永く暮らしました、めでたしめでたし!の物語ではなく、この終わりが新しい始まりの物語です。

イラストは下手な模写ですが、Twitter(現X)のカウントダウンで晒した自作です。雑ですみません。

Img_0309


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『本好きの下剋上』ネタバレ感想 疑問推測編3

*『本好きの下剋上』ネタバレなので、未読の方は下記読まないようになさってください*

長編の中でたまに浮かぶ疑問をミステリを解くように考えるのも一つの楽しみのようになっています。
下記も旧ツイッター(現 X)に書き込んだネタですがまとめてみます。

祈念式で宿泊したライゼガングの夏の館。カルステッド達は襲撃を予測してマインを従者の部屋に泊め自分が本来マインが泊まると思われる部屋で待機していた
https://ncode.syosetu.com/n4830bu/147/

マインが青色巫女時代に、”謎の青色神官”に扮したジルベスターと騎士として同行していたカルステッド。
ゲルラッハ子爵の館に行く時にはフェルディナンドはマインにヴェールを付けさせ顔を隠すようにし、非常に警戒していました。
その夜はライゼガングの館の神官用の離れに宿泊。
その際マインには部屋が足りないからと適当なことを言って従者の部屋に宿泊させています。
そして翌朝目覚めると、夜中に(おそらくはマインの誘拐を狙っての)来襲があったという報告を受けました。
読んでいてこれは明らかにカルステッド達は誘拐を警戒予測していて、第三者から見れば青色巫女(マイン)が眠っていると思われる部屋にカルステッドが待機していたのだなと思いました。
私は読んでいて普通にそう思っていたのですが、Twitterで感想を見ていると推測に過ぎない感じに取られる感想も見かけました。
では自分はどこでそう思ったか?

まず、その前に宿泊したブロン男爵の神官用の部屋に皆で泊まった時は、アルノーが挨拶に行き離れを開け、フェルディナンドが対応しているだけなのでジルカルの宿泊は知られていません。
が、ライゼンガングの時は、襲撃のことをマインに告げたカルステッドにマインが
≫「……犯人がライゼガング伯爵という可能性はないのですか?」
と聞くとカルステッドは下記のように反応しています。
≫わたしの質問にカルステッドがきっぱりと頭を振って否定した。
「ない。ここは私の母の実家だ。私が同行している者に仇なすようなことはあり得ない」

このセリフの私が同行している者というところ。
つまり、カルステッドはここに宿泊する際に事情を説明してきちんと本館に挨拶しているということがこのセリフで分かります。
縁者の館に来ていて貴族であるカルステッドは本来神官用の離れに泊まる必要はないです。
(想像ですがジルベスターは本館に泊まったのではないかと…)
この頃のマインではよく分からなくてもしょうがないですが、挨拶もしててわざわざ神官用の離れに泊まってる段階で部屋がないからとマインを従者の部屋に入れ敵を欺き安全を図り、
自分達は襲撃に備えていたということがこのセリフでくっきり分かるのでした。

なので、この推測=カルステッドは故意に部屋を交換しそこに居た=は論拠あるものとなります。

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