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「ベル・デアボリカ」の感想手紙を書くならば

サカタボックスによると、朝日さんから坂田さんの手元にようやくお手紙が転送されたようです。
WEB連載に対して反応を見せないと!と思ってお手紙を書いたはいいが、公式サイトを見てもどうもどこに出せばいいかイマイチ分からなかったんですね。。
メールとか出したとしても超多忙な編集部の方に読んでいただけるように転送で回してもらえるのかどうなのか;;
どう考えても朝日さんは大会社ですし、郵便物一つとってもそれを処理する担当さんにいくまで相当大変そう。
それは分かっておりました。

で、今日サカタボックスに上がっていた情報によると、編集さんの住所は下記らしいので、
ここに直接出したほうが朝日さんの大きな窓口よりもまだずっと坂田さんに転送される速度は上がると思われます。
〒101-0041
東京都千代田区神田須田町 1-26 SAN-Aビル5F (株)夢時館
「ベル デアボリカ」 坂田靖子様宛

前に一度出したお手紙がどうやら行方不明になっていたっぽいので、WEB連載の感想を朝日さんに出すのは諦めていた私でしたが、これならばコミックス完結までの応援はここに出したほうが良さそうですねw

蛇足ながら、私の勤務先なんて小さい地方の営業所なんで誰がどんな仕事をしてるかってのは私が全部把握してるのですが、そんなでも会社全体になると一つの申請をどう回すかというのは案外面倒なことになっています;
上長のそのまた上が申請内容を上や横に回すのを忘れて(もしくは通しにくいのかなんなのか自分で止めてしまい)、いざ話を進めようとすると横の部署に話が通ってなかったりなんてこともよくある・・で;
上長から話を回すのがうまくいかないと見ると、私はつい本社の常務に裏から手を回してしまうことも・・;(その方が正規ルートより速いんですもん・・)
ただ、これはホントに奥の手で、なんでもかんでも飛び越えて話を通そうとすると角が立つので、本当に困ったときだけ「ご相談があるのですが・・」とやっちゃうんですな~。というのも、私の立場は経理・総務関係もあるので営業所の上長とは別に本社の常務の直属部分もあるので、「(営業関係で話を通すのに)困ったらオレをうまく使え」と言われているのでした。
だもんで、この話を通すにはあっちの部長とこっちの部長の仲が悪いからこのまま普通に上長→部長→・・・ルートではどうも話が通らなさそうだぞ;と思ったら奥の手を使って「ご相談」して根回しを裏でして表からの話を通しやすくするというそんな感じです。
まあある意味水戸黄門みたいな人がいるのですな、わが社には。そんで社長がちょっと、、、なもので、、。この人がかなりな部分で会社の核になっている。
上長は立場上そんな風には動けないので私が影で動いてしまうw
しかしこれを使うには日頃から自分の仕事をきちっとこなして本社や横の部署関係の信頼を得ておくというのがミソです。そんで、ホントに困ったときしか使わないのもミソ。・・・・そんなこんなで話が分かるエライ人ってけっこう助かります。結局日本の組織って人間関係と根回しで動いてるんだよねえ;正論だけでは動かないから厄介くさい。
・・ちなみにうちの本社、金沢なんですよねえ・・不思議な縁・・。そういえばそんなエライ人にサカタボックスで坂田さんが薦めていたインスタントちゃんぽん麺をお土産に頼んだことがあるwわはは;
(エライ人なんだけど一方でそういう軽い冗談みたいなことも言いやすいおじさんなのでした。いやうちの会社ではエライんですけどw)

なんか話横道に逸れてしまったw

そんなこんなで、坂田さんに「ベル・デアボリカ」の感想を書いてどんどん送りましょうvv
来年無事に完結巻が出るまで先が気になってしょうがないーーーー。あーでも終わるのも寂しいから~~~早く終わって欲しいわけではない~~~~(ジレンマ)。

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ゲゲゲの女房、最終回

土曜日に再放送される分を録画して土日にまとめて見るのを楽しみにしていたドラマでした。
NHKの朝ドラを楽しみに見るなんてホントに群馬に越してきて再就職してから初めてのことでした。
わざわざ録画してまで見るなんてことは。
それがやはり今回は水木先生の奥様の本を元にしたものだというので見たいなと思い、最初の内数回見逃したものの土曜の再放送を知って録画して見ることにしてからはずっとずっと見ておりました。
売れるようになるまでの貧乏との闘いは何週にも渡って、見てる方もしんどかった。この後に大ヒットが待ってると知っていても辛かった。淡々とご主人を信じてかつかつの家計をやりくりされた奥さん、本当に偉かったよねえ。。。理解ある編集さん達が励まし支えてくれるところとか、ホントにしょっちゅう涙しながら見ました。
私などは子供の頃からのマンガファンで、マンガを描く人出す人、出版に携わってる人、評論や研究に捧げてる人など周辺にたくさんいるので、その苦労も情熱も知ってることだけども、一般の人にはそこまでのこととは分かってもらえてないわけだった。いまだにマンガなんて子供が読むもの、くだらない、と思ってる人は世の中にはたくさんいるし、「非実在青少年」なんてよく分からない概念で表現を規制しようという動きはどんどん出てきているし。
ドラマの中でもマンガへの偏見でいろいろ圧力がかかるところなどもあったけど、それと今とさほど問題自体は変わってない;
そういう時期にこのドラマが丁寧に丁寧にマンガへ情熱を捧げている人たちとそれを支える家族達を描いてくれたことは非常に良かったなあ!と思った。
マンガのことだけじゃなく、家族のこと、夫婦のこと、町やふるさとの人間関係のこと、温かく優しい気持ちになるドラマだった。しょっちゅうしょっちゅうぐすぐすと涙ぐみながら見ました。
昨日は最終週の録画を見て、大団円を十分に味わいました。ホントに最後までいいドラマを有難う>NHKさん
見直しましたw

このドラマがマンガ文化への理解、マンガに携わる人たちへの理解を特にマンガに興味のない一般の人たちにまで普及したのは貢献が大きいと思います。一マンガファンとして企画制作出演者全てに感謝したい、それこそ「ありがとうって言いたい」v

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トークショー、質問編

なんせ会場は300人定員が満席だったので、質問をどうぞ、という段階ではたくさん手が挙がっていました。
下記も記憶のみのおおよその内容です。ご了解ください。

質問1(大阪から来たという映画を撮るのを目指していて最近撮った映画で何か受賞したという若い女性)

映画から漫画へという影響もあると思うのですが、逆もあるのではないかと・・自分が最近受賞した作品を見て評価が「少女漫画みたいだね」と影響を指摘される。自分にとっては「トーマの心臓」が凄く好きで影響があったとも思う。
萩尾先生の漫画において、神がかり的なものを感じるが作品として技術・テクニックというのはどのくらいの感じですか、それともやはり殆ど神がかりなものなのですか?

萩尾「鈴木光明先生の漫画家入門とか本があるのですが、山岸さんと話していて、漫画家志望の人にいろいろ教えたとしてもセンスだけは教えられない、そしてセンスというのが一番大事なのよねえ、と。
そうなると何も教えられないということにはなってしまうのだけど、でもセンスというのを考えた時に、自分なんかは例えば手塚作品にしても面白いと思ったモノを何回も何回も読み直してしまう。
そしてもう筋も何も分かっているのに同じところで泣いて同じところで驚かされて、同じとこで怒ったりするわけです。だから、自分が面白いと思うものをたくさんたくさん読んだり感じたりすることが大事なんじゃないかと思いますね。アンテナをたくさん立てて、センスの良いと思うものに触れること。
自分も猫を40年飼っているけど、猫漫画を描き始めたのはごく最近です。何がどう生まれるのに結びつくか分からないから。 」

質問2(女性です)
「最近読まれて感動した本とか何か教えてください」

萩尾「『ちいさいおうち』中島京子さんの直木賞受賞の本ですね。
(*注*小さいおうち
http://www.bk1.jp/review/486028)これは書店に行った時に山積みになっていて一緒にいた友人に「この本私の友人が書いたのよ」と言われた。これはもう何かが「読め」っていってる出会いだなと思って読んだ。
戦時中の話と言うのは経験者は客観的に見れず、未経験者は客観的に過ぎてなかなか両方をバランスを取るのは難しいのだけど、この本は戦時下にあって二人で暮らす家の中だけを取り上げていてそのバランスが非常に上手い。敢えて語られてない部分などもあって取捨選択の上手さもある。
あと、「深海のYrr(イール)」というセミSFです。
(*注*ドイツの作家 フランク・シェッツィング著深海のYrr 〈上〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1)
≫ウィキより≫『深海のYrr』(しんかいのいーる、独: Der Schwarm)はドイツの作家フランク・シェッツィングの長編海洋冒険小説。取材に4年をかけ2004年にドイツで発表され、ドイツ国内で200万部を超えるベストセラーになり「ダ・ヴィンチ・コード」から首位を奪った。2008年4月に日本でも早川書房から北川和代の翻訳で全3巻(上・中・下)が出版された。
既に大型映画化が決定している。)

質問3(女性です)
「萩尾さんのファンです、トーマのオスカーとか大好き。先生はやはりかっこいい男性を描くのが? 」

萩尾「女ですからやはりかっこいい男性を描くのは好きですね。
オスカーは自分でも好きなキャラですが、結婚したいかどうかというとまた別・・現実でも恋愛と結婚が別みたいに・・。理想としては面倒見のよい「メッシュ」のミロンさんとかがいいと思いますね~。
ジェルミはあまり暮らしたくないなとか。イアンはどうかなとか考えますね。」

質問4(男性)
「手塚さんは同時代の作家のたとえば「イガグリ君」など相当意識していたと聞きますが、萩尾先生はそういう競争意識みたいなので同時代の作家、例えば竹宮惠子さんとか意識されていたとかありますか?
魔夜さんの有名な「クックロビン音頭」は先にお話があったのですか? 」

萩尾「自分は受験戦争の競争にうんざりして、競争のない世界がいいと思って漫画家になったのです。そしたらアンケート競争というのがあって(笑)
でも自分は競争が嫌でこの世界に入ったのだからなるべくそういうのは意識しないようにした。
竹宮さんとは2年くらい一緒に暮らしたのだけど、まあ周囲もそういう風に見るし自分はそういう競争から距離を置こうと思ったのです。
(*注*競争がイヤだったという話は先日の『文藝別冊 萩尾望都特集』(*注文藝別冊 萩尾望都 少女マンガ界の偉大なる母)の中のインタビューでも語られています。作品にも「競争」ではなくそれぞれ自分の個性を出せればいいというメッセージが再三出てきます。)

「クックロビン音頭」はある日ページをめくったらいきなり出ていて驚いた。どうやって踊るのかな見てみたいなあと思った。
魔夜さんはそのせいかどうか、今ご自身もバレエやってらして奥様もバレエダンサーで。時々バレエの発表会を見に来てと招待されることもあります、まだ見に行ったことはないけど。
「クックロビン音頭踊る?」「踊らない」という・・(笑)

たくさんの挙手がありましたが、既に時間も過ぎていたのでこれで終わり、興味深い話がたくさん聞けて充実のイベントでした!
遠くまで遥々出かけてホントに良かったです、企画くださった方、ありがとうございました!

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「レポート「漫画のちから~萩尾望都さんを招いて~ 映画上映とトークショー」

昨日午後2時から川口市の「彩の国ビジュアルプラザ」で行われたイベントに行ってきました。

イベント詳細はこちらhttp://www.eizou.pref.saitama.jp/library/event/event.html
第一部はまずは映画上映でした。
「手塚治虫の世界『鉄腕アトムの発見』」
(1999年/43分/企画:(株)紀伊国屋書店/制作:(株)ポルケ)
手塚先生のおいたち(マンガや映画好きで自分でも8ミリを撮影していた多趣味なお父さん、宝塚が好きだったお母さんというハイカラな家で育った)、いじめられっ子だったがマンガを描くことでクラスでいじめがなくなったといった話、虫が好きでペンネームに虫という字を使うようになった、大学で医学部に進み無事に医師免許を取得しながらも漫画家になることを選び上京。どんどん売れっ子になっていく経緯、さらには「マンガの神様」と言われ、日本におけるマンガやアニメの発展の基礎を作っていくまでに至る・・などなど鉄腕アトムを中心に作品に込められた手塚のメッセージなども取り上げた丁寧な内容でした。
(*調べたらWikiにも記載されている事が多かったので既に手塚ファンには知られた基本的な内容なのでしょうね。)

15分の休憩を挟んでいよいよ萩尾さんと宮瀧交二さん(大東文化大学文学部准教授)の対談。
(萩尾先生は黒のロングワンピにボーダーの羽織物を合わせて相変わらずおしゃれでした!)
チラシには聞き手・宮瀧氏となっていましたが、実際はプロの司会者=女性=が進行役になって話を振る形で、宮瀧さんも「自分は一萩尾ファンで代表してここにいるが、萩尾さんになるべく話してもらうようにするので」と前置き。確かに会場もこれは萩尾ファンがかなり多いのだろうなあーという熱気がなんだかありました。で、司会者の女性はマンガはあまり詳しいわけではなさそうでしたが、きちんと話の進行を事前にまとめておられた感じで澱みなく上手い進行でした。

以下、それぞれ言葉通りではないですがおおよその内容です
*メモを一切取っていないので記憶だけでまとめたものです。
記憶違い、ニュアンスの違い、会話の流れの前後・・などあるかも。その点ご了解ください。*

■漫画家になるきっかけは手塚さんの「新撰組」そして「妄想系」

・司会「萩尾先生も手塚作品のファンでいらして漫画家になるきっかけになったということを伺っていますが?」
・萩尾「手塚先生の『新撰組』を読んだ時にガーンとやられたんですね。この中に主人公が親友を切らなくてはいけないという場面が出てきてそこを読んだ時に一週間くらいずっとガーンガーンとひきづった。自分は妄想系なので主人公のこの悲劇を避けるためにはどうすればよかったのか、二人で逃げればよかったんじゃないのか…などなど考えたりした。それでこのショックから自分も漫画家になろうと決意して、そしたら少し楽になった…」
(*注*これはもう萩尾さんが漫画家を目指すきっかけとして何回も語られている話なのでファンにはお馴染みのエピです。)

・司会「手塚先生にお会いになられたことは?」「その時どのように思われましたか?」
・萩尾「出版社のパーティや対談インタビューなどでたまにお目にかかっていました」
「手塚先生の虫プロに遊びに行って年賀状のアドレス書きのお手伝いをしたことがあるんです。そしたら手塚さんがいらして、やあ!って。あー、手塚治虫が歩いてる~~って思いましたね(笑)」
・司会「萩尾ファンの方にとっては今まさに萩尾先生に対して同じように思っていらっしゃると思いますが(笑)」

■マンガの描き方は人それぞれ

・司会「マンガを描いていく時に膨大な資料とか取材とかされて大変なのではないかと思うんです。こうやって描いていくという方法みたいなのはあるんでしょうか?良い作品を産み出すためには?」
・萩尾「自分は取材や資料調べはあまりなくて30%くらいであとは殆ど妄想です(笑)すみません」
「これをこうやってこう描くというのはあまりない。自分は妄想系なので、いろんなことに触れてはそれを元に色々と考えていつのまにかそれが種になって芽が出て大きくなってある日ぽろっと実になっていい実がとれたぞ、という感じで作品が生まれる」
(*注*今回、萩尾さんは「妄想系」という言葉を繰り返し使っておられました。)
・宮瀧「妄想大事ですよね(笑)妄想と言うかイマジネーション、想像力を使うというのは非常に大事なことだと思いますね」
・萩尾「理解ある方がいらして大変有難いです(笑)」
・司会「私などはいろいろ妄想したりしても、実になるまでいかなくて、こうしゅるしゅる~~としぼんでしまうんですよね」
・萩尾「いや、そういう人もいて世の中は堅実に動くんで。世の中の人みんなが妄想ばかりしていたら大変なことになります(笑)」

・萩尾「作品の描き方としては私はとりあえず最後まで考えて、それで描き出す。描き出してから展開を後で考えるということはあまりない。だけど人によっては描き出してから先を考える人もいる、自分には怖くて出来ない。苫小牧から鹿児島までおおよその旅程は先に組んでから描くわけですよ、途中で琵琶湖に寄るとか出てきても最後はここにいくというのは決めている。それが美内すずえさんなんかは何か思いついたらまずは描いてみるんだそうです。それで描き出してから展開を考えるんだそうです。"怖くないの?"って聞いたら"怖いわよ""どうするの?"〝考えるのよ"って・・それが『ガラスの仮面』かあ…って(笑)」
(*注*これはSF大会の夢枕さんとの対談でも同じような話が出てきました。夢枕さんも書きながら先を考えるタイプだという話で、萩尾さんは最後まで決めてからじゃないと書き出さないタイプだということですね)

・司会「手塚治虫先生などはどうだったんでしょうか?」
・宮瀧「締め切りも相当重なっておられたみたいですからねえ」
・萩尾「でも作品を読んでいて後のほうで、ここにこう出てきたか、と驚かされることもあるから(*注*驚かされる伏線が張ってあったというような意味)やはりある程度は展開を先に考えておられたのではと思うこともある。
・萩尾「自分も一度だけ先を考えずに描き始めたことがあって、それは「スター・レッド」だったのだけど、まずなんでもいいから予告を打たなくちゃいけないからカットをちょうだいと言われてカットを描いてそれからじゃあどうしましょう?と展開を考えた。その時美内さんが言う怖い思いが初めて分かった(笑)」

■編集者と作者

・司会「マンガを描くにあたって、編集の人からここはもっとこうしたらとか色々言われたりもあるのではないかと思うのですがそういう時はどうなさっているんでしょうか?」
・萩尾「まあマンガの編集さんというのは男性が多いので(男の人には分からないわよね)と思って。はいはいと聞いて次回会うときにはどうせ忘れているだろうと思ってそのまま描いてしまう。ただ、今までで3回だけ編集さんに痛いところを突かれた、ということもあった。その時は時間がなくてネームの締め切りが迫ったので、どうしても上手くまとまっていなくてまだ納得いっていなかったがそのまま持って見せたら「これはなにいってるの?」と突っ込まれて、案外編集さんも(自分が納得いくまでやれてなかったことが)ちゃんと分かるのだなと思って大いに反省したことはあります。」

■漫画家になるには?

・司会「今日来ている人の中でも漫画家を目指している方もいるだろうと思うのでそういう人にアドバイスするとしたら?」
・萩尾「まずはいろんなカルチャーに触れて吸収してください、たくさん本を読んだり映画を観たり、様々なものに触れてください。」
・宮瀧「萩尾先生の『思い出を切りぬくとき』というエッセイが河出書房さんから出ているんですが(*注思い出を切りぬくとき (河出文庫))、そのエッセイの中でも漫画家志望の人に言う話が出てくるのだけど、どんな本を読んでますか?どんな映画が面白いですか?って。映画でも芝居でも文楽でもバレエでもなんでも一度は生で観るようにすることが大事ですね。映画もスクリーンで観ないとというのもあるし、スポーツ観戦でもその試合会場じゃないと伝わってこないものもあるので。」
・萩尾「映画は家でも見れるけれどやはり時々は映画館に行ってみるのが集中して見れていいです。家だと人は来るし猫も来るし(笑)電話やファックスもあったり中断してしまう。映画館では2時間なら2時間その世界に集中できるのがいいし、帰路までにその感想を語りあったり振り返ることが出来る」
・宮瀧「手塚先生やトキワ荘の方達も映画をよく見に行ったという話がありますね」
・萩尾「あと、編集さんとの相性もあります、出版社もいっぱいありますから、いろんな人と会って見せてみるというのも大事ですね」

■電子書籍化やネット配信による影響のことなど

・司会「最近はインターネットでの配信や電子書籍化が進んでマンガ出版も厳しい状態にあるようですが?」
・萩尾「ネットのせいでマンガが売れないのではないですね、まずは少子化のせい。あと、モノカルチャーではなく複合カルチャーになったこと。自分たちの時代は皆で一つのことに"フィーバー"した。例えば巨人の星が面白かったねとかクラス全部で話題に出来たけれども、現在は趣味が多様化細分化しているんですよね」
・司会「そういうますます難しい中で描かれているのですね」
・萩尾「そうですね、なのでこれからは子供の多い中国を市場にしていくとか(笑)・・」
・宮瀧「本はインクの匂いとか紙の手触りとかこの先も無くなってはいかないだろうとは思うのです。書店に行って一冊の本の横に並んでいる別のを本を見て、ああこんな本もあったのかという、ネットの検索では拾ってこれない情報もたくさんありますから」

・萩尾「自分は遅れてきた世代なのでPCはあまりやらないのです。ただ、先日アメリカに行く用事があってipadを買ったんです。写真をいっぱい入れられるというので。でも取り込むための機器が行くまでに間に合わなくて。でもipadは持っていった、本が読めるからと思って。でもまだ読むものがあまり出てないのですね。京極夏彦さんの『死ねばいいのに』というのがあって悩んだけどまだ買ってないです。飛行機で読むのに『死ねばいいのに』というのはさすがに抵抗があった(笑)
(*注*http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100520_368320.html

・萩尾「アメリカに行ったのはサンディエゴで行われたコミコンのためだったのですが」
(*注*ここで司会者がアメリカのコミコンで萩尾先生がインクポッド賞を受賞されたことを説明、これまでの日本での受賞者が手塚治虫、高橋留美子、宮崎駿・・・まさに世界の萩尾になったという素晴らしい賞である・・http://natalie.mu/comic/news/35407
・萩尾「でも賞金とか商品とか何か出たわけではないのですよ(笑)ただ、インクポッドが自分で筆を差しているディズニーアニメ的なトロフィーと、今後コミコンは生涯無料で入れるというカードを頂きました。今回向こうで私の翻訳本を出してくれることになっていて、その印刷が間に合えばサインすることになっていて、行ったら本が間に合っていたのでサイン会もしました。」
(*注*『A Drunken Dream and Other Stories』A Drunken Dream and Other Stories
翻訳は京都精華大学のマットソーン氏。萩尾作品に造詣の深い方で作品セレクトも。既にアマゾンでも買えます。私は別経路で注文済みですが手元に来るのを待っているところです。)

■原作付きを描くということ、そしてアメリカのコミック出版の現実

・司会「萩尾先生はオリジナルだけでなく原作付きの作品も多く描かれていますがどういった点が魅力ですか?」
・萩尾「やはり好きな作品というのは自分にとってシンパシーがあるので読んでいて自分の絵の範囲でどんどん画像が浮かぶのです、映画のように。それを実際に描くのが楽しい。が、他人が書いたものですから自分が思いつかないようなキャラとかセリフとかが出てくるのでそれも楽しい。また漫画化することで作品の細部ディティールまで色々考えるのもいいですね」
・宮瀧「アメリカでは原作付きのマンガが当たり前で、原作は原作、マンガはマンガと分かれているのが当たり前。日本のようにストーリーマンガが主流で全部を一人で描くというのは非常に珍しい。手塚さんが「これは漫画に非ず 小説に非ず」と『ロストワールド』の序文で高らかにマンガ宣言をしてるわけですよ、これから本格的なストーリーマンガを描くぞという決意表明ですね。現在のマンガ家はこれを踏襲しているわけですね。
手塚さんがここで「漫画」に非ずと言っている「漫画」とは当時新聞などに載っていた政治を皮肉った内容のやつとか、四コマとか旧来のスタイルのものを指しているわけです。学究の世界では「漫画」と漢字で書くとそういう旧来のスタイルのものを差し、手塚以降のストーリーマンガは「マンガ」とカタカナで書くのが本当。だから今回のイベントの「漫画のちから」もカタカナの方が合ってるんですが」
・萩尾「そうだったんですねー」

・萩尾「アメリカのコミックというのはヒーローモノが主流で、薄いリーフになっていて書店では扱われず専門のリーフ売り場があってそこでしか売られない。日本のように書店でマンガが売られるわけじゃないんだそうです。そしてヒーローモノは出版社が原作者、作画者を割り振って決めて描かせるもので、それぞれが挿げ替えがきく存在。
今回自分の翻訳版の本が書店で扱われることになって珍しいケースだと言われて、そこで聞いたのだが、その本(翻訳本)の出版社の社長さんが自分のご友人がヒーローモノの漫画家で、でも日本の漫画を読んで、つげ義春さんみたいな作品が描きたいと思って一生懸命描いて出版社に持ち込んでも「これはヒーローモノじゃないから」と出してくれず。
しょうがないから自主出版して書店に持ち込もうとしても同じように断られ、生活できなくなるからまたヒーローモノを描いてお金を稼いでそのお金でまた自主出版をする・・そういう暮らしを5年くらいしてる内に亡くなってしまった。自分はアメリカでも亡き友人が目指した本格的なストーリーマンガを描きたいという漫画家の本を日本のように書店で扱ってもらえるように出版社を起したのだ・・そうです。」

・萩尾「アメリカはコミックについてはまだそういう状況で、勝った!と思いました(笑)勝ったっていうのも変ですが、日本のほうがマンガ文化としては勝っているというか。欧州のほうがまだコミックにも理解があって日本のように書店で普通に扱われていますね。」

■マンガの現在と、最後に埼玉県を舞台にしたマンガの話など

・宮瀧「週刊少年漫画とか少女コミックとか雑誌名に付けられて、昔は自分なんかが少女コミックを手に持ってると奇妙に思われたものだったが、最近はそういうのは少しマシになってきたましたね」
・萩尾「言われてみると確かにジェンダー分けしたものがタイトルについていますね」
・司会「その点どう思われますか?」
・萩尾「服なんかでも婦人服売り場メンズ売り場と分かれているが、たとえば最近は男性でもそれ素敵ねと聞くと婦人服売り場で買ったとかいう話もある。一応の目安としてあるのは構わないんじゃないか。男性のSサイズが女性ではMサイズだったりもする(笑)」
・宮瀧「昔はマンガなんか読むなと言われたけども、今はマンガを読む人は本も読むわけです。たとえば『美味しんぼ』なんて一作の中でものすごい文字数なんですよね、情報量が凄い」
・萩尾「あー私も『美味しんぼ』好きです。よく行く料理店の人があのマンガが出てからお客さんの反応が変化したと言っていました。前は料理を出して何産の…といっても皆関心なかったけども、今は説明を聴いてくれるようになったし、逆にお客さんのほうから薀蓄を聞くことも。今ではメニューに食材の産地が書いてあるのも当たり前になってきましたよね」
・宮瀧「マンガが与える影響力というのも大きいですね」
「あと、埼玉を舞台にした作品というのも多いのですが、メジャーなところでは『クレヨンしんちゃん』他にも『のだめカンタービレ』もそうですし(*注*いくつか挙げられたのですが失念・・)萩尾先生も埼玉を舞台にしたマンガがありますか?」
・萩尾「自分も埼玉の郊外のほうに住んでいるのですが、ただ、なんとなく埼玉と言う感じでどこといって特徴が無いのではっきり埼玉と分かるようにはなっていないですね、『フラワーズ』に描いている生方さんという作家が主人公のシリーズなんですが。『山へ行く』というタイトルで本が出ています。」
(*『山へ行く』(小学館発行)山へ行く (flowers comicsシリーズここではない・どこか 1)

・司会「今後のお二人の活動のご予定などお聞かせください」
・宮瀧「豊島区にマンガ記念館(?)(*注*名称を失念しました;すみません・・)トキワ荘がありましたので・・を建設する予定(?)があってそれに向けて動いております」
・萩尾「今年はあと二作掲載予定があって、その後は冬休みですね」
・司会「どうもありがとうございました!この後は会場から質問を受け付けたいと思います。」

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橋本治『桃尻娘』ポプラ文庫で復刊~v

*ツイッター情報で知りました。*そして「図書の家」のBBSにも書き込みました*二重投稿で失礼します*

橋本治さんの大河青春小説『桃尻娘』がポプラ文庫で復刻してるそうです。なんと今年6月に。知らなかったー(ツイッターも覗いたり覗かなかったりムラが多い私ですから;)

現在『その後の仁義なき桃尻娘』まで刊行中。
詳細はポプラ社さんの公式サイトでご確認ください↓立ち読み版も挙がってるようです。

http://www.poplar.co.jp/shop/shosai.php?shosekicode=81011150
ウイキで調べたら最初の巻が1978年なんですね~最後の巻が1990年、12年がかり。
思春期の子供が成長して大人になるのに十分な年数ですw
≫桃尻娘(1978年11月15日)
その後の仁義なき桃尻娘(1983年1月20日)
帰って来た桃尻娘(1984年10月8日)
無花果少年と瓜売小僧(1985年6月18日)
無花果少年と桃尻娘(1988年2月26日)
雨の温州蜜柑姫(1990年9月17日)

最初の巻から出る度に買って読んだのですが、こうして考えると橋本さんは私の思春期に随分影響してたのだなあ・・・しみじみ・・(そして相変わらずバリバリ書いておられますけどもv)
さべあのまさんの柔らかい線のイラストがぴったりで、大好きな本でした。今も大事に持っています。その後高野文子さんの絵で文庫本も出て、今回再びさべあのまさんのイラストで新装版が出たわけですね~。これは本当に嬉しい復刻です。

私は特に『無花果少年と瓜売小僧』が好きで(知ってる人は”そらそうだろうなー”って思うでしょうねw)、源ちゃんがページいっぱいに叫んで号泣するシーンがもう切なくて切なくて、、、忘れられないです。

懐かしく思う人にも、まったく未読の若い世代の方にも是非是非お薦めのシリーズです。
おみかん姫までちゃんとシリーズ完結で復刻して欲しいものですね!

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桃尻娘 (ポプラ文庫)
その後の仁義なき桃尻娘 (ポプラ文庫)

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「やおい研究の歴史と現在 」講師*金田淳子氏

ホントは同じ18日にこういうシンポジウムもあって、参加したいのは山々なんですが、、やっぱちょっと厳しいなあというので断念。
ですが「やおい」研究に興味のある方は是非是非~。

場所は米沢嘉博記念図書館2階閲覧室
http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/

図書館自体も漫画に興味のある方には是非足を運んでいただきたい場所ですし^^
あー、私も都内在なら、川口行って帰路で遅れてでもこっちも足を運ぶんですが;

◆やおい研究の歴史と現在
詳細はhttp://d.hatena.ne.jp/yonezawa_lib/20100831#1283242853


やおい(ボーイズラブ・JUNE含む)は、女性むけコンテンツとして30年以上の歴史があり、やおいについての研究(やおい論)も1980年代末から刊行されつづけています。やおい論の歴史と現在を概観します。

タイトル:やおい研究の歴史と現在
講師:金田淳子氏(社会学者・やおい研究家)
日時:9月18日(土) 16:00~17:30
会場:米沢嘉博記念図書館2階閲覧室
料金:無料 ※会員登録料金(1日会員300円~)が別途必要です。

≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪

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「手塚治虫の世界 『鉄腕アトムの発見』」 上映と萩尾先生トークイベント

このところ各種イベントが盛んです。
今週末はこれに行こうと思っています!
萩尾先生のトークイベントです~vv
作品も相変わらず精力的に描かれていらっしゃるし、トークイベントの参加も増えておられて今年は益々お元気でご活躍!ファンとしては嬉しい限りです。
SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ4F というのは調べたら埼玉県川口市なんですけど、頑張って行って来ます。
で、実は情報自体は先月早々には図書の家のBBSで書いてくださった方がいてだいぶ前に知って行こうと思っていたのに、「事前申し込み」というのを読んでなくて、今日(9月13日午前中)に電話したんです;
そしたら申し込み締め切りまであと20人切ったところですって。きゃあ、危なかったーー。
なので、行こうと思う方、これ読んでからだともう締め切ってる可能性もありますけど;まずはサイトで情報を確認してから電話してみてくださいね?
まっこと、情報というのはきちんと正確に把握せねばいけません(自戒自戒;)
また行ったら差し使えのない範囲でレポート挙げますね~。

申し込んだ後に定員まであとどのくらいですか?とか担当さんに聞いたんでした。
それで個人のどうってことのないブログなんですが現在の応募状況のお話をUPしますが良いですか?と聞いたら気さくにOK下さいました。まあさほど大きなアクセスないですからw
感じの良い方が担当でなんだか嬉しかったなあ^^
http://www.eizou.pref.saitama.jp/library/event/event.html

≫映画上映とトークショー
漫画のちから~萩尾望都さんを招いて~

日時
平成22年9月18日(土) 開場13:30 開演14:00
終了予定16:00 (入場無料)
会場
SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ4F
映像ホール
上映映画
「手塚治虫の世界 『鉄腕アトムの発見』」
トークショー出演者
萩尾 望都 氏(漫画家)
宮瀧 交二 氏(大東文化大学文学部准教授)
概要
映像公開ライブラリーには、「漫画」をテーマにしたドキュメンタリー番組があります。今回のコンテンツ活用講座では、その映像をご覧頂きます。
トークショーには第一回手塚治虫文化賞漫画優秀賞を受賞し、数々の名作を発表されている萩尾望都さんをお招きし、表現力のツールとして無限の可能性を持つ「漫画のちから」などについて語って頂くとともに、萩尾さんが漫画家を目指したきっかけや作品を生み出す発想・原動力、作品への思いなどについて語っていただきます。
お申し込み
事前のお申し込みが必要となります。
電話・FAXでお申込下さい
株式会社デジタルSKIPステーション(担当:関口)
Tel:048-260-7777・Fax:048-263-1661
(定員300名)

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『ベル デアボリカ』 第8話更新!!

坂田靖子さんの『ベア デルボリカ』第8話UPされています!

http://comics.yahoo.co.jp/magazine/hfclub/berudeap01_0001.html

カラー扉絵が綺麗ですよね~!
私は個人的にはまだ既読分なのですが、先がやっぱり気になります~~~!
次は11月の配信、バタバタしてると2ヶ月はあっという間なので我慢我慢!
サーバーの保管は次がUPされると上書きされるみたいなので、ファンの方は次の配信までにお早めに読みにいってくださいーー。

第一巻も好評発売中!

描きおろしページもたくさんなのでお薦めです!

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24のセンチメント久々の更新『窮鼠はチーズの夢をみる』水城せとな

先回の更新からすでに1年は経ったんではないかと;更新しました。
http://toshonoie-sentiments.sblo.jp/

図書の家のHPがサーバー移転する際にこちらも再構築ということになってて、いつも以上に小西さんともよさんにお手数をかけながらでした~。(いつもいつもありがとう~~v>お二人)

テキスト自体は去年この本を読んだ後にちまちま書いていったん書きあげたものの(そういう日記も書いてた;)メンバーから「ちょっと毎回の文章の調子がマンネリ化してるしねえ?」「良くも悪くもない?」的な感想を貰っていて; だもんで「もうちっと頑張れー」ということでUPを保留にしてた分。
もうちっとなんとか、と言ってからさらに半年以上経ちまして・・
(間にサーバー移転があったり、萩尾望都特集の解説のお仕事がきたりしてそれどころでなく・・)
去年のテキストを今になって挙げるということに;
そんでまあ最初に書いた内容から大して進歩もしなかったかもしれないのだけど、いったん挙げてしまわないと次にいけないので挙げることにしました。いやあもう、、作品お薦めとしてはBL好きな人にはとっくに知られてる作品だしあまり意味がないかもしれませんが、一感想文としてお読み頂ければ。。。と思います。

次は再び坂田さんの「ベル デアボリカ」をお薦め書きたいと思っておりますv先回のは作品感想ではなく紹介だけでしたからね~~~。

向こうのブログもぼちぼちまた再開して続けてみますので、皆様宜しくお願いします。

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