あまちゃん感想(シンデレラとか人魚姫とか)
「あまちゃん」人気はますます上がり、じぇじぇじぇ!は流行語大賞を狙う勢いでこれはほとんど「ゲゲゲ」以来の社会現象化と言えましょう。
私も毎朝楽しんでみてて、じぇじぇじぇ!と言いっぱなしなので素直に流行に乗っかりたいと思います。
松田龍平演ずるミズタクは業界人ならではの冷めた得体のしれない感じと、時折見せる真面目で秘めた情熱みたいな熱さとが絶妙なバランスで、アキとの掛け合いもお笑いのようで素晴らしいです。これも松田龍平じゃないと出せない味だったなと思うし、人気出るのも分かります。
さて下記、ネタバレも含みますのでドラマを見ていない方でこれから観ようと思ってる方は読まない方がいいです。
このドラマにはいろんな歌やドラマや映画もろもろのパロディの要素もふんだんに盛り込まれており、なくてもいい細かい部分でお笑いが仕込まれているのでそれに気づいた人はにやっとしてしまうというお楽しみもあります。
先週では太巻がアキに対して「薄汚いシンデレラの娘」と言いました。
キョンキョン演ずるアキの母親=春子を指して「薄汚いシンデレラ」というわけです。このセリフはその昔キョンキョンが主演した大映テレビの「少女に何が起こったか」で石立鉄男がなぜかいつもキョンキョンにぶつける印象的なセリフでした。私はドラマを見ていなかったのに特集番組とかでよく取り上げられてたもんで知っていました。
なので、ああ、あれのパロディね、とにやりとしたんでした。
さらにアイドルになるためには年齢的な時間の制限があることを常に気にしていた春子はある意味「シンデレラ」でもあったわけで、夢破れてお姫様になれなかったシンデレラでもあった。
今のこの展開の中で太巻がなぜここまで春子(と結果的にその娘であるアキ)に対して酷くあたらなくてはいけないのか、もう一つ大きな理由、エピソードが隠されているようなので理由がまだ分かりません。
歌の代役をさせたことでデビューさせてあげられなかったということは太巻にとってもトラウマで後悔のタネではあるでしょうが、そのことを詫びる気持ちよりも再び出てきた春子(の娘)を潰そうとする心理としては何か一個抜けてる気がします。それがなんなのか。
春子の娘であると知った時の太巻のあの動揺に比して、過去のことは過去のこととして「太巻さんによろしくね」とあっさり言っていた春子。二人が共有する過去に対するこの温度差はなんなのか、今のところまだミステリです。
このドラマの構成は1984年という時代の転換期と春の過去を少しずつ見せながら現在進行のアキの流れとともに謎を明かしていく構成になっており、その辺も絶妙です。なのでなぜここまで太巻氏がムキになっているのかまだ語られてない何かがあるような気がしてそれも面白いです。
あと、もう一つ、春子(キョンキョン)は時間制限を気にしていた「シンデレラ」であったとともに声を失った「人魚姫」でもあったんだな~ということ。過去に薬師丸ひろ子演ずる鈴鹿ひろ美の代役で歌ったとされる「潮騒のメロディ」の歌詞がこれまたパロディ満載で、過去の映画「潮騒」であったり、キョンキョンの持ち歌であった「渚のハイカラ人魚」であったり・・で、歌詞の中に「マーメイド~」と入っているのはそのあたりのパロとだけ思って流していたんですが、よくよく考えてみると、人魚姫は一目ぼれした王子様に出会うために魔法使いに尾びれを足に替えてもらって陸に上がるわけですが足を貰う引き換えに肝心の声を無くしているのです。
王子様(アイドルになる=世間)に認めて貰うために陸に上がった(CDデビューした)人魚姫(=春子)は大事な声を失って(鈴鹿ひろ美の代役の歌声)、肝心のことが伝えられない。
王子を助けたのは自分であること=「潮騒のメロディ」を歌っているのは自分!!ということ。
ましてや歩く度に(CDを重ねて出す度に)足は激痛(心は痛むばかり)、王子様(=世間)に伝えたくても自分の声は失われている。それどころか、王子様は自分を助けてくれたのは隣国の姫(=鈴鹿ひろ美)だと思い込んでしまいとうとう結婚(鈴鹿ひろ美は女優として歌手として大成功)。
夢破れた人魚姫は海に還って行った(地元に帰った・・・腫物として)。
(・・・ということは太巻さんはアイドルを目指す娘たちの姿を替えて王子様=世間に売り込むことが出来る魔法使いなのだな~そういえば黒いそれっぽいレッスン服着てるわなw)
見事な符牒の合わせ方です。
キョンキョンが人魚をモチーフにした歌を歌っていたという過去、絶対的なアイドルであった小泉今日子が時代の波に乗り損ねアイドルになれなかった役をやるというのも上手いし、ここまで狙っていたのかどうなのか、声を失った人魚姫であったということまでイメージを重ねていたとしたら本当にスゴイ脚本家だと思います。
先回の「純と愛」では「眠り姫」が重要なモチーフになっていました。
今回のドラマはいろんな要素、演ずる役者の実際の過去の役柄や歌の絡みなども含めて、絡み合っていて、それもしかし別に分からなければ分からないでいい、気づいた人だけにやっとすればいい、という入れ方で本当に面白い。
今週の展開もどうなるのか、じぇじぇじぇ!な日々を楽しんでいきたいと思います。
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- あまちゃん感想(2023.07.02)
- 戦場のメリークリスマス(2021.08.07)
- 映画パンフ3(2021.08.07)
- 映画パンフ2(2021.08.07)
- 映画パンフ(2021.08.07)
Comments