『本好きの下剋上』疑問編4
これは疑問というか、
ランツェナーヴェの建国の話を考えると、なんとなく子供の頃に読んだ、いわゆる「魔法の国」なのだなーと思う。
例えば、「ジャックと豆の木」で天に昇って行った先にある国。
「アラジンの魔法のランプ」に出てきた魔人の住む国。
(ちなみにアラジンのランプは男性器のアナロジーともいわれているが、まあそれは心理学的な話ではある。)
子供の頃に読んだ中で「ハウフ物語」ヴィルヘルム・ ハウフという作家の不思議な物語集があって、魔法の世界とか出てきていたように思う。
先日来、なんか思い出すなあとふわふわと懐かしく考えているのだけど具体的なことを忘れているので、今度読み返してみたい。
でも、たぶん、イメージとしてそういう「魔法の国」がベースになっている気はする。
突如として現れた不思議な力を持つ、ユルゲンからきた魔力持ちに一方的に支配されたであろう元々住んでいた現地の民。
たとえば宮崎アニメでいけば「天空の城ラピュタ」でもあったように、高次元の文化や知識、恐ろしいハイスペックの武器を持つ侵入者一族が現れたら力のない元々の民たちは簡単に支配されてしまう。
現代世界でいえば、アメリカ大陸に元々いた現地民が銃を持つ移住者に戦い負けていったように。
が、魔力を通さない銀の布や銀の船などの説明の背景には、魔力を持つ”神々”のような相手に対して、魔力ではない、魔力に抵抗できるよう武器や技術を積み重ねて対抗できるようになりつつあったとある。
一方的に魔力を搾り取られるだけになりつつあるランツェにおける王族としての在り方を憂いそれを打開せんとして、レオはD嬢をたぶらかしてシュタープを取得してランツェで再度魔力持ちの権力を復権しようと企み(魔石やら魔術具もどっさりアーレンで入手して、貴族女性もいっぱい連れ去っていこうとしていたし)
ジェルはユルゲンの支配者になろうとしてやってきたわけだ。
そうした野望を打ち砕かれたジェル達がユルゲンで囚われの身になった後、ランツェの魔力持ちの残りの人達はおそらくは支配力をさらに失い、元々の現地の民だった子孫らに打ち負かされ、魔力で造られ維持されていた建物は消えてなくなり、魔力に頼らない国になっていくのだろう。ランツェにユルゲンから勝手にやってきて築かれていた王族の滅亡である。
その後は次第に元のように痩せた土地になるのか、それとも現代世界のように科学力みたいなものを発展させてどうにかやっていくのか。
そこは謎だけども。
魔法の国の消滅かぁ…と考えるとそれはそれでまた一つ物語ができるわけだねえと思ったり。
ユルゲンはほかで生きにくい魔力持ちだけを受け入れるために作った国となっていたが、
なんとなく超能力者だけが逃れて住む設定の「地球へ…」(竹宮惠子)や「遊び玉」(萩尾望都)「阿呆船」(佐藤史生)らのSFマンガも思い出したりするのである。
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