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『本好きの下剋上』ネタバレ感想 疑問推測編3

*『本好きの下剋上』ネタバレなので、未読の方は下記読まないようになさってください*

長編の中でたまに浮かぶ疑問をミステリを解くように考えるのも一つの楽しみのようになっています。
下記も旧ツイッター(現 X)に書き込んだネタですがまとめてみます。

祈念式で宿泊したライゼガングの夏の館。カルステッド達は襲撃を予測してマインを従者の部屋に泊め自分が本来マインが泊まると思われる部屋で待機していた
https://ncode.syosetu.com/n4830bu/147/

マインが青色巫女時代に、”謎の青色神官”に扮したジルベスターと騎士として同行していたカルステッド。
ゲルラッハ子爵の館に行く時にはフェルディナンドはマインにヴェールを付けさせ顔を隠すようにし、非常に警戒していました。
その夜はライゼガングの館の神官用の離れに宿泊。
その際マインには部屋が足りないからと適当なことを言って従者の部屋に宿泊させています。
そして翌朝目覚めると、夜中に(おそらくはマインの誘拐を狙っての)来襲があったという報告を受けました。
読んでいてこれは明らかにカルステッド達は誘拐を警戒予測していて、第三者から見れば青色巫女(マイン)が眠っていると思われる部屋にカルステッドが待機していたのだなと思いました。
私は読んでいて普通にそう思っていたのですが、Twitterで感想を見ていると推測に過ぎない感じに取られる感想も見かけました。
では自分はどこでそう思ったか?

まず、その前に宿泊したブロン男爵の神官用の部屋に皆で泊まった時は、アルノーが挨拶に行き離れを開け、フェルディナンドが対応しているだけなのでジルカルの宿泊は知られていません。
が、ライゼンガングの時は、襲撃のことをマインに告げたカルステッドにマインが
≫「……犯人がライゼガング伯爵という可能性はないのですか?」
と聞くとカルステッドは下記のように反応しています。
≫わたしの質問にカルステッドがきっぱりと頭を振って否定した。
「ない。ここは私の母の実家だ。私が同行している者に仇なすようなことはあり得ない」

このセリフの私が同行している者というところ。
つまり、カルステッドはここに宿泊する際に事情を説明してきちんと本館に挨拶しているということがこのセリフで分かります。
縁者の館に来ていて貴族であるカルステッドは本来神官用の離れに泊まる必要はないです。
(想像ですがジルベスターは本館に泊まったのではないかと…)
この頃のマインではよく分からなくてもしょうがないですが、挨拶もしててわざわざ神官用の離れに泊まってる段階で部屋がないからとマインを従者の部屋に入れ敵を欺き安全を図り、
自分達は襲撃に備えていたということがこのセリフでくっきり分かるのでした。

なので、この推測=カルステッドは故意に部屋を交換しそこに居た=は論拠あるものとなります。

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『本好きの下剋上』ネタバレ感想 疑問推測編2

*『本好きの下剋上』ネタバレなので、未読の方は下記読まないようになさってください*
長編の中でたまに浮かぶ疑問をミステリを解くように考えるのも一つの楽しみのようになっています。
下記も旧ツイッター(現 X)に書き込んだネタですがまとめてみます。

名捧げ側近の中でなぜハルトムートだけが細やかにローゼマインの魔力の変化を感じ取れるのか?

ハルトムートは非常に有能ですがあまりにもローゼマインに心酔しているので言動がちょっと気持ち悪いです。
名捧げの時も普通の人は他人の魔力に縛られる痛みに辛そうにするのに、ハルトムートは恍惚となっていてローゼマインに引かれていました;
香月先生も痛みにうっとりするのは「変態ですか?変態です」とふぁんぶっく4 はみ出たQ&Aコピーシテペッタンで答えています。
https://ncode.syosetu.com/n4099cd/17/
しかもハルトムートはローゼマインが平民出身であるという出自も把握しています。
その上で主至上主義の言動をするので、周囲に引かれつつも非常に頼もしい存在にもなっています。

ローゼマインがメスティオノーラの書を取得するためエアヴェルミーン(じじ様)に呼ばれ、育成の神アーンヴァックスに急成長させられました。
その間、エーレンフェストでは毎日ハルトムートが「ローゼマイン様が成長し、魔力がどんどん増えていっておられます」と恍惚と語っていたらしい。ほかの名捧げ側近もそこまで細かいことは分からないながらもローゼマインの魔力の変化が多少は分かるようで、否定はされない。
ただ、ほかの誰よりも細やかに詳細に把握しているのでした。
最初読んだ時は(まあ、狂信的なハルトムートだからなー)くらいに読んでいたのですが、再読時やっぱりなんで彼だけこんなに?
と気になりました。

一方、Twitterで相互フォローさせていただいている、まつとうめ様が別の疑問を呈しておられました。
ハルトムートは成人の儀式の際に平民達の方が祝福を多く貰っていて羨ましいと言ったことで、ローゼマインが「いつも頑張ってくれてるから祝福を上げましょう」と言って特別にハルトムートに祝福を贈ったのです。
その祝福効果はどうなったのだろう?という疑問でした。
それを読んだ時に、私は私の疑問「なぜハルトムートだけが細やかに?」の答えをそこに見出したのでした。
二人でやりとりして、ひょっとして、この祝福の効果がその「ローゼマインの魔力を感知できる」に繋がっているのでは?と。

ハルトムートは側近になった時から「ローゼマインを研究している、特に祝福のことを知りたい」と言っていました。
なので、祝福を貰った際に彼が願ったのは「ほかの誰よりもローゼマインのことを知りたい」だったのではなかろうか?
結果として、彼はほかの名捧げ側近の誰よりも日々のローゼマインの魔力の変化を感知できるのかもしれません。
まつとうめ様と二人で出していったのですが、けっこう納得した推測でしたw

>>補足追記<<
2023年11月10日『ふぁんぶっく8』QAにこの件質問があり、回答は結局、感知はするけどもハルトムートの推測と妄想が入っているだけで気持ち悪いだけです、的なものでした!大受け!!結局気持ち悪いだけ!!
祝福効果でローゼマインの魔力の変化を細やかに感知されたら気持ち悪いよねえ~~という話にはなっていたので良かったです;
>>ここまで追記<<

主にしてみれば、助かっている面もあるけど、やっぱりちょっと引くでしょうね;
まあハルトムートのおかしな言動のお陰で、急成長したローゼマインを迎える準備が下着や洋服も間に合わせながらも用意があったり
少なくともエーレンフェストの近しい人たちは奇異な目で見ることなく、感嘆と歓迎の目で迎えてくれました。
さらにはメスティオノーラの魔力で塗り替えられた後に、名捧げ側近だけは畏れで近寄れないということがないことをいち早く
フェルディナンド達と情報共有でき、パニックに陥ったローゼマインを落ち着かせる役目も負えました。
ハルトムートのグッジョブです!

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『本好きの下剋上』ネタバレ感想 疑問推測編1

*『本好きの下剋上』ネタバレなので、未読の方は下記読まないようになさってください*

長編の中でたまに浮かぶ疑問をミステリを解くように考えるのも一つの楽しみのようになっています。
下記も旧ツイッター(現 X)に書き込んだネタですがまとめてみます。

フェルディナンドはアルノーの悪意にどこで気づいたか?

マインが神殿の青色巫女時代、フェルディナンドの側仕えの筆頭はアルノーでした。
アルノーはどうも微妙にマインに嫌がらせをしている風があり、その理由は読んでいても謎だったのですが
アルノー視点SSで動機が明かされます。
https://ncode.syosetu.com/n4830bu/171/

マインが青色巫女として神殿に入る前、孤児院長をしていたマルグリットは自分が気に入った灰色神官(少年)を性的な相手としておりました。フランはその対象とされ本人にはずっと非常なトラウマになっています。
が、相手にされていなかったアルノーはマルグリットの妖艶さに魅力を感じていた為連れ込まれるフランを妬んでおり、
マルグリットがその素行の悪さから自殺したことでも助けを呼びもしなかったとフランを恨んでいました。
(中央の政変で貴族が減り青色神官と巫女が貴族街に特別措置で戻されることになった時に、その対象になったマルグリットはしかし、その素行の悪さから戻れず。
絶望して自殺=素行の悪さとはおそらく、孤児院長として予算を横領したり神官と性的行為をしていたりなどの行状が露見したためと思われます。)
自分勝手な妬み嫉みによるフランへの悪意から、(マインは巻き添えになる形として)フェルディナンドに気づかれない範囲で些末な嫌がらせを繰り返しておりました。

例えば、一番最初はフランのトラウマであるマルグリットが使っていた孤児院長室をマインに使わせるようフェルディナンドに提言。
他には奉納式の際に少し急がせてマインが顔を合わせたくない神殿長とすれ違うように仕向けたり
不和を起こさせようとディルクの養子の検討の件をフランではなくデリアに伝言したり
孤児院の現状を知って相談に来る時に神殿長の側仕えであるイェニーが居るようにこっそり仕組んでいたり
最後は、マインがビンデバルトに連れ去られそうになっている緊急事態の際に、フランが呼び出しを頼んでも(本来緊急なら呼べるのに)
フェルディナンドを呼び出さなかったが為に、マインが貴族に攻撃する形になってしまったこと。
結果的にはその為にマインは家族と別れ領主の養女にならなければ救われなかった…。
単にフランへの悪意から行われた嫌がらせだったことがSSで語られます。

が、アルノーは優秀でフェルディナンドには重用されており、非常に上手く立ち回って嫌がらせしていたし、最後の隠し部屋にいたフェルディナンドを呼び出さなかったのも建前的には指示に従ってただけだからすぐには気づかれていなかったのです。
それがいつの間にか居なくなり、恐らくはフェルディナンドが処分したな、というのが読者にも分かります。
ふぁんぶっくQAでも、アルノーが仕出かしたことの大きさ、今後もやらかすであろう危険さで排除したという明記がありました。
じゃあどこでフェルディナンドはアルノーの悪意に気づいたのでしょう?
疑問に思っていましたが、アルノー視点SSを再読していて気が付いたのです。
「フランのトラウマをフェルディナンドに報告」したことで奴は墓穴を掘ったんだ!

アルノーごときでわざわざ魔術具を借りたとは思えませんし、排除の時期はジルベスターは領主会議に戻っているので許可は出ません。
フランへの嫌がらせの一つにマインへの孤児院長室使用の提言がありました。
SSの最後に出てきたマルグリットの隠し部屋に連れ込まれていたフランのトラウマについて嬉々としてフェルディナンドに伝えたことで恐らくフェルディナンドは気づいたのです。
フランのそのトラウマを知っていたお前はなぜわざわざこの部屋を使うように一番最初に提案したのか?
フランに孤児院長室、中でも隠し部屋に嫌な思い出があるのを分かっていたお前が
と。

フランからは緊急だからと伝えたのに、アルノーは神官長は不在としか言わなかったとも聞いてた筈。
それが悪意によるものだと気づき、記憶力の良いフェルディナンドなので、これまでもちょっと引っかかっていたあれやこれやにも気づいたかもしれません。
なぜアルノーが呼びに行ったマインが早く来たのか、なぜあの時イェニーが来ていたのか、なぜわざわざディルクのことをデリアに伝えたのか、小さいことではありますが違和感があったアレコレ。
全部が繋がらなくてもフランのトラウマを知りながら使うように提言した事実に悪意を見出し、威圧などして口を割らせ、高みにあげたのだろうと思います。
なぜ、自分がそれらに気づかなかったのか、、マインを家族から引き離すこの事態を引き起こしたアルノーへの怒りはおそらくすさまじいものがあったのではないかと思います。自らへの自責の念も含めて。
この別れは後々までフェルディナンドの気持ちに残るものなので。

この件に自力で気づいたとき、なんかすっごくすっきりしたので纏めてみました。多分、正解だと思っています。

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