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『本好きの下剋上』ネタバレ感想 疑問推測編1

*『本好きの下剋上』ネタバレなので、未読の方は下記読まないようになさってください*

長編の中でたまに浮かぶ疑問をミステリを解くように考えるのも一つの楽しみのようになっています。
下記も旧ツイッター(現 X)に書き込んだネタですがまとめてみます。

フェルディナンドはアルノーの悪意にどこで気づいたか?

マインが神殿の青色巫女時代、フェルディナンドの側仕えの筆頭はアルノーでした。
アルノーはどうも微妙にマインに嫌がらせをしている風があり、その理由は読んでいても謎だったのですが
アルノー視点SSで動機が明かされます。
https://ncode.syosetu.com/n4830bu/171/

マインが青色巫女として神殿に入る前、孤児院長をしていたマルグリットは自分が気に入った灰色神官(少年)を性的な相手としておりました。フランはその対象とされ本人にはずっと非常なトラウマになっています。
が、相手にされていなかったアルノーはマルグリットの妖艶さに魅力を感じていた為連れ込まれるフランを妬んでおり、
マルグリットがその素行の悪さから自殺したことでも助けを呼びもしなかったとフランを恨んでいました。
(中央の政変で貴族が減り青色神官と巫女が貴族街に特別措置で戻されることになった時に、その対象になったマルグリットはしかし、その素行の悪さから戻れず。
絶望して自殺=素行の悪さとはおそらく、孤児院長として予算を横領したり神官と性的行為をしていたりなどの行状が露見したためと思われます。)
自分勝手な妬み嫉みによるフランへの悪意から、(マインは巻き添えになる形として)フェルディナンドに気づかれない範囲で些末な嫌がらせを繰り返しておりました。

例えば、一番最初はフランのトラウマであるマルグリットが使っていた孤児院長室をマインに使わせるようフェルディナンドに提言。
他には奉納式の際に少し急がせてマインが顔を合わせたくない神殿長とすれ違うように仕向けたり
不和を起こさせようとディルクの養子の検討の件をフランではなくデリアに伝言したり
孤児院の現状を知って相談に来る時に神殿長の側仕えであるイェニーが居るようにこっそり仕組んでいたり
最後は、マインがビンデバルトに連れ去られそうになっている緊急事態の際に、フランが呼び出しを頼んでも(本来緊急なら呼べるのに)
フェルディナンドを呼び出さなかったが為に、マインが貴族に攻撃する形になってしまったこと。
結果的にはその為にマインは家族と別れ領主の養女にならなければ救われなかった…。
単にフランへの悪意から行われた嫌がらせだったことがSSで語られます。

が、アルノーは優秀でフェルディナンドには重用されており、非常に上手く立ち回って嫌がらせしていたし、最後の隠し部屋にいたフェルディナンドを呼び出さなかったのも建前的には指示に従ってただけだからすぐには気づかれていなかったのです。
それがいつの間にか居なくなり、恐らくはフェルディナンドが処分したな、というのが読者にも分かります。
ふぁんぶっくQAでも、アルノーが仕出かしたことの大きさ、今後もやらかすであろう危険さで排除したという明記がありました。
じゃあどこでフェルディナンドはアルノーの悪意に気づいたのでしょう?
疑問に思っていましたが、アルノー視点SSを再読していて気が付いたのです。
「フランのトラウマをフェルディナンドに報告」したことで奴は墓穴を掘ったんだ!

アルノーごときでわざわざ魔術具を借りたとは思えませんし、排除の時期はジルベスターは領主会議に戻っているので許可は出ません。
フランへの嫌がらせの一つにマインへの孤児院長室使用の提言がありました。
SSの最後に出てきたマルグリットの隠し部屋に連れ込まれていたフランのトラウマについて嬉々としてフェルディナンドに伝えたことで恐らくフェルディナンドは気づいたのです。
フランのそのトラウマを知っていたお前はなぜわざわざこの部屋を使うように一番最初に提案したのか?
フランに孤児院長室、中でも隠し部屋に嫌な思い出があるのを分かっていたお前が
と。

フランからは緊急だからと伝えたのに、アルノーは神官長は不在としか言わなかったとも聞いてた筈。
それが悪意によるものだと気づき、記憶力の良いフェルディナンドなので、これまでもちょっと引っかかっていたあれやこれやにも気づいたかもしれません。
なぜアルノーが呼びに行ったマインが早く来たのか、なぜあの時イェニーが来ていたのか、なぜわざわざディルクのことをデリアに伝えたのか、小さいことではありますが違和感があったアレコレ。
全部が繋がらなくてもフランのトラウマを知りながら使うように提言した事実に悪意を見出し、威圧などして口を割らせ、高みにあげたのだろうと思います。
なぜ、自分がそれらに気づかなかったのか、、マインを家族から引き離すこの事態を引き起こしたアルノーへの怒りはおそらくすさまじいものがあったのではないかと思います。自らへの自責の念も含めて。
この別れは後々までフェルディナンドの気持ちに残るものなので。

この件に自力で気づいたとき、なんかすっごくすっきりしたので纏めてみました。多分、正解だと思っています。

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